Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 乳腺(JABTS)
検診

(S587)

人間ドックにおける乳房超音波・マンモグラフィ分離併用検診の検討

Research into Separation Combination Screening of breast ulutorasound and mammogram examinations as part of a complete medical checkup

山口 香織, 田上 恵, 佐藤 友紀, 田村 千穂, 木場 博幸, 川野 俊昭, 大竹 宏治, 川口 哲

Kaori YAMAGUCHI, Megumi TANOUE, Yuki SATO, Chiho TAMURA, Hiroyuki KOBA, Toshiaki KAWANO, Koji OTAKE, Tetsu KAWAGUCHI

1日本赤十字社熊本健康管理センター第二検査課, 2日本赤十字社熊本健康管理センター内科, 3日本赤十字社熊本健康管理センター婦人科

1Second examination division, Japanese Red Cross Kumamoto Health Care Center, 2Department of internal medicine, Japanese Red Cross Kumamoto Health Care Center, 3Department of gynecology medicine, Japanese Red Cross Kumamoto Health Care Center

キーワード :

【はじめに】
J-STARTの結果が発表され,マンモグラフィ検査に乳房超音波検査を併用することが乳がんの早期発見に寄与していることが明らかとなった.当センターの人間ドックにおいても,乳房超音波(以下US)とマンモグラフィ(以下MMG)による分離併用検診を行っている.今回,過去6年間の人間ドックにおける分離併用検診の結果を検討したので報告する.
【対象と方法】
対象は,2009年4月から2015年3月までの人間ドック受診者のうち,US・MMG分離併用検診を実施した延べ42,943名(平均年齢52.0±10.5歳).これらの検診成績を集計した.
また,発見された乳がん123例を,USのみ指摘群(以下Ⅰ群),MMGのみ指摘群(以下Ⅱ群),US・MMGの両方指摘群(以下Ⅲ群)に分け,それぞれの傾向を分析した.
【結果】
対象の42,943名のうち,要精検者数は2,268例(5.3%),精検受診者数2,005例(88.4%)で,発見された乳がんは123例(発見率0.29%,陽性反応的中度5.4%)だった.年代別では,30代7例(5.7%),40代41例(33.3%),50代39例(31.7%),60代22例(17.9%),70代以上14例(11.4%)で,40~50代で高率だった.
乳がん123例の群別内訳は,Ⅰ群36例(29.3%),Ⅱ群26例(21.1%)で,Ⅲ群が61例(49.6%)と半数を占めていた.
組織型別では,Ⅰ群は非浸潤性乳管癌(以下DCIS)8例(22.2%),浸潤性乳管癌(以下IDC)20例(55.6%),特殊型4例(11.1%)だった.Ⅱ群はDCIS 11例(42.3%),IDC 11例(42.3%)だった.Ⅲ群はDCIS 6例(9.5%),IDC 50例(79.4%),特殊型3例(4.8%)だった.DCISの割合はⅡ群,Ⅰ群,Ⅲ群の順で高かった.IDCの割合は,Ⅲ群が最も高かった.
病期別では,Ⅰ群はStage0・Ⅰ16例(44.4%),StageⅡA 3例(8.3%)だった.Ⅱ群はStage0・Ⅰ19例(73.1%)だった.Ⅲ群はStage0・Ⅰ25例(39.7%),StageⅡA 9例(14.3%)だった.
StageⅡA 全12例の受診間隔は,8例(66.7%)が初回受診または3年以上空いての受診だった.
【まとめ】
今回の乳がん検診成績は要精検者率5.3%,発見率0.29%,陽性反応的中度5.4%で,40・50代に多く発見されていた.
乳がんの半数がUS・MMGの両方で指摘できたが,半数はいずれか一方でしか指摘できなかった.
組織型別では,DCISの割合は,いずれか一方でしか指摘できなかった群が高かった.両方で指摘できた群のほとんどがIDCだった.
病期別では,発見された乳がんのほとんどが早期がんだった.
進行がん12例の受診間隔は,初回受診または3年以上空いての受診が多かった.
【結語】
今回の結果より併用検診の有用性を再認識した.
また,受診間隔が空くと病期が進んでの発見が多い傾向があるため,少なくとも2年以内の受診を勧奨していきたい.今後更なる検討を加え報告する予定である.