Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 乳腺(JABTS)
手技・検査法

(S586)

乳癌術前化学療法症例におけるRVSを用いた腋窩リンパ節転移巣の追尾

Identification of axillary lymph nodes using Real-time Virtual Sonography in breast cancer patient who received neoadjuvant chemotherapy. Case report

榊原 淳太, 榊原 雅裕, 三階 貴史, 長嶋 健, 大塚 将之

Junta SAKAKIBARA, Masahiro SAKAKIBARA, Takafumi SANGAI, Takeshi NAGASHIMA, Masayuki OHTSUKA

千葉大学臓器制御外科乳腺甲状腺外科

Department of General Surgery, Chiba University Graduate School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
従来,術前化学療法は手術不可能と判断された炎症性乳癌や局所進行乳癌に対して行われてきたが,近年は腫瘍径が比較的大きく乳房温存手術が困難な症例に対しても行われるようになってきている.しかし,化学療法後は腫瘍の縮小,線維化,壊死などのため化学療法前の病変占拠範囲を再現することは容易ではない.HER2乳癌やTriple Negative乳癌の病理学的完全奏功率の高さをみても分かるように,我々外科医にとっては切除ライン決定において悩ましいところである.当科では新しいアプローチ法として術前マーキングへの汎用性の高い超音波への応用を目的とし,Real-time Virtual Sonography(RVS)を用いた化学療法前の的確な腫瘍占拠範囲の同定法をこれまで報告してきた.今回は主病巣の追尾のみならず,腋窩リンパ節転移巣の追尾についても報告する.
【対象】
症例は40歳代女性.左乳房CD境界に5cm大腫瘤を認め,当科紹介受診.組織生検施行し浸潤性乳癌(ER:-,PgR:-,HER2:3+,Ki67:50%,Histological grade:3)の診断であった.腋窩リンパ節も細胞診にて転移陽性の診断であった.T3N1M0,c-StageIIIAの局所進行乳癌であり,主病巣のサブタイプより化学療法が奏功することが期待できたため,術前化学療法を予定した.化学療法としてはFEC×4→(DTX+Trastuzumab)×4を施行した.
【方法】
化学療法開始前に主病巣と腋窩リンパ節転移巣の超音波のvolume dataを取得記憶した.病巣のみならず,周囲の解剖学的構造物を含めvolume dataを取得した.化学療法中は,volume dataの情報をもとに主病巣,リンパ節転移巣を追尾した.病変部位同定の際の補正には,乳腺,脂肪,靭帯,血管,肋骨などの解剖学的成分を使用した.
【結果】
主病巣,腋窩リンパ節転移巣とも著明に縮小したが,化学療法前のvolume dataを参考に病変部位を明確に同定しえた.
【結論】
主病巣のみならず腋窩リンパ節転移巣の追尾,同定にもRVSが有効であることが示唆された.