Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 産婦人科
新技術の産婦人科への応用

(S581)

Shear wave elastographyを用いた子宮収縮曲線の作成- preliminary study

The uterine contraction curve made by shear wave elastography: preliminary study

森田 政義, 梁 栄治, 瀬戸 理玄, 長屋 陽平, 生井 重成, 鎌田 英男, 松本 泰弘, 木戸 浩一郎, 綾部 琢哉

Masayoshi MORITA, Eiji RYO, Michiharu SETO, Youhei NAGAYA, Shigenari NAMAI, Hideo KAMATA, Yasuhiro MATUMOTO, Kouichiro KIDO, Takuya AYABE

帝京大学産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Teikyo University

キーワード :

【目的】
現在産科領域では子宮収縮の評価法として圧トランスデューサを用いた外測法が頻用されているが,定量的な評価ができない.Shear wave elastographyは超音波照射により組織を振動させ,発生したshear waveの伝達速度を測定することで組織の硬度を定量的に評価する方法である.子宮筋の収縮による硬度の増加をshear waveの子宮筋層内伝達速度により評価した結果が,外測法での陣痛曲線と相関したとの報告がある(文献1).今回shear wave elastographyを用いて切迫早産例と陣痛例における子宮収縮曲線の作成を試みた.
【対象と方法】
切迫早産3例における計6回の子宮収縮,分娩第1期1例における誘発中の6回の陣痛を対象とした.全ての症例において持続的に分娩監視装置を装着し,同時にshear wave elastographyを施行した.Elastographyの関心領域を子宮筋層内に限局し,画面上極力胎児・胎盤が含まれないようにした.1回あたりの測定時間は平均3.49分(2.07分~6.7分)で,その間,平均1.51秒(1.1~1.8秒)に1回,子宮筋層内のshear wave伝達速度を連続的に計測した.使用機器はLogiq E9と9L-Dリニアプローブ(GEヘルスケア),Mechanical Indexは1.4,Soft Tissue Thermal Indexは0.4であった.得られたshear wave伝達速度を用いて,その経時的変化のグラフを作成した.本研究は帝京大学倫理委員会の承認を受け,患者の同意を得て行った(帝倫16-082号).
【結果と考察】
全例で分娩監視装置の陣痛曲線と同期して子宮収縮曲線が作成可能であった.分娩例でのshear wave伝達速度の経時的変化を図(A),分娩監視装置の陣痛曲線を図(B)に示す.両者とも3回の陣痛が示されている.伝達速度の最高値と最低値の平均は分娩例ではそれぞれ5.51 m/s(範囲5.41~5.58),1.48 m/s(1.06~2.1)で,切迫早産例では4.33 m/s(2.67~5.28),1.39 m/s(0.92~1.99)であった.伝達速度の最高値は分娩例では陣痛6回とも5 m/sを超えていたが,切迫早産例では6回中5回は5 m/s未満であった.
【結論】
Shear wave elastographyを用いて子宮収縮曲線の作成が可能であった.この方法で切迫早産の子宮収縮と陣痛とを定量的に鑑別できるかもしれない.しかしshear waveを発生させるためには比較的強度の高い超音波照射が必要であり,特に長時間の使用に関しては安全性に留意する必要がある.
【参考文献】
1)Gennisson JL et al.Ultrasonics.2015,56:183-188.