Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 産婦人科
新技術の産婦人科への応用

(S580)

SWEを用いた正常妊娠子宮頸部の硬度計測の可否に関する検討

Assessment of the detection of cervical stiffness in pregnancy evaluated using shear wave elastrography

武藤 愛, 堀之内 崇士, 吉里 俊幸, 上妻 友隆, 品川 貴章, 井上 茂, 堀 大蔵, 牛嶋 公生

Megumi MUTO, Takashi HORINOUCHI, Toshiyuki YOSHIZATO, Yutaka KOUZUMA, Takaaki SHINAGAWA, Shigeru INOUE, Daizo HORI, Kimio USHIJIMA

久留米大学病院総合周産期母子医療センター

Maternal and Perinatal Medical Center, Kurume University Hospital

キーワード :

【緒言】
Shear wave elastography(SWE)は,音響加圧により組織に生じる剪断波伝播速度(Shear wave speed,SWS)から,組織の硬度を評価することができる.本研究では正常妊娠子宮頸部におけるSWS計測の可否とその要因について検討した.
【対象と方法】
2016年10月-11月に当センターで妊娠管理を行った妊娠14-36週の正常単胎妊婦111例を対象とした.経腟走査で子宮頸部矢状断を描出し,探触子を子宮頸部に圧迫させない状態で,外子宮口と内子宮口の前唇(A),後唇(P),頸管腺領域(CGA)の計6か所で,SWSを測定した.使用した超音波装置は,Toshiba社製Aplio 500,探触子は型式PVT-781VTである.関心領域(ROI)における剪断波到達時間等高線が平行で,円形ROI内部でSWSカラープロファイルがすべて表示される場合を計測可(図1:A,B)とし,各測定部位でのSWS計測の可否を検討した.次に,計測可能群と不可群で,1)妊娠週数,2)円形ROI内部の低エコー輝度領域の有無,3)探触子から円形ROI中心までの距離(図2)をoff-lineで計測し,両群で比較した.統計学的解析は,Χ2乗検定およびWilcoxon検定を用い,有意水準はP<0.05とした.本研究は,当院倫理委員会の承認を受け,対象患者から同意を得た.
【結果】
SWS計測率は,外子宮口A,P,CGAでは99.0%/99.0%/100%,内子宮口A,P,CGAでは97.2%/28.8%/48.6%と,内子宮口P,CGAにおいて計測率が低かった.内子宮口P,CGAの計測可能群と不可群間では,1)妊娠週数は有意差を認めなかった.2)円形ROI内部の低エコー輝度領域を認めた割合は,Pでは差を認めなかったが,CGAでは計測不可群(45.6%)が可能群(7.4%)より多かった.4)探触子から円形ROI中心までの距離は,P,CGA共に計測不可群(P:28.9 mm(中央値),CGA:23.4 mm)は,可能群(P:23.3mm,CGA: 17.85 mm)より長かった.
【結論】
正常妊娠子宮頸部におけるSWS計測は,内子宮口の後唇,頸管腺領域で困難であり,その原因として探触子から円形ROIまでの距離が長いこと,頸管腺領域ではそれに加え低エコー輝度領域,即ち頸管内粘液や血管の存在の関与が考えられた.