瀬尾 晃平, 市塚 清健, 岡井 崇, 松岡 隆, 高木 亮, 吉澤 晋, 梅村 晋一郎, 関沢 明彦

Kohei SEO, Kiyotake ICHIZUKA, Takashi OKAI, Ryu MATSUOKA, Ryo TAKAGI, Shin YOSHIZAWA, Shin-Ichiro UMEMURA, Akihiko SEKIZAWA

¹昭和大学横浜市北部病院産婦人科, ²愛育病院産婦人科, ³昭和大学医学部産婦人科学講座, ⁴東北大学工学部医工学研究科

¹Obstetrics and Gynecology, Showa University Northern Yokohama Hospital, ²Obstetrics and Gynecology, Aiiku Hospital, ³Obstetrics and Gynecology, Showa University School of Medicine, ⁴Department of Biomedical Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
High intensity focused ultrasound（HIFU）を用い，これまでTwin reversed arterial perfusion sequence（TRAPs）への胎児治療を行ってきた．本研究の目的は治療成績を明らかにし，そこから得た課題を検証することとした．
【方法】
2012年から2015年に行ったTRAPsに対するHIFU治療6例を対象とした．症例1から4は側方配置型トランスデューサー，持続定常照射法，トランスデューサーを脱気水バッグ内に設置したシステム（第1世代），症例5，6は中央配置型トランスデューサー，シーケンシャル照射法，脱気冷却循環装置を回路内に配置したシステムで行った（第2世代）．
【成績】
症例1は妊娠26週に照射，血流遮断を認めず，羊水過多により妊娠27週で早産に至った．症例2は妊娠17週に照射，治療完遂．症例3，4はそれぞれ妊娠13週，15週に照射し血流遮断を認めたがIUFDに至った．症例3は供血児に心奇形と心嚢液貯留を認め，症例4は臍輪部高度過捻転による閉塞を認めた．症例5は妊娠14週に照射，血流減弱したが遮断には至らなかった．症例6は妊娠14週に照射，血流遮断したが翌日再還流を認めた．症例5，6はHIFU照射後RFAで治療し生児を得た．母体合併症は，照射中の熱感と照射後の熱傷を認めた．生存児への合併症は認めなかった．血流遮断に至らなかった症例は，熱感や熱傷により照射中断を要したこと，目標部位に対し十分なエネルギーを加えられなかったことが原因と思われた．
【結論】
HIFUによるTRAPs治療は子宮穿刺を要しない低侵襲な治療であり，従来の治療法より早い週数で治療できる．一方，熱感による照射中断を余儀なくされること，および母体腹壁熱傷が治療完遂の障壁になることが明らかとなった．