Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児異常(頭頚部)

(S575)

Pfeiffer症候群の一例

A case of Pfeiffer syndrome

真田 道夫

Michio SDANADA

松戸市立病院産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Matsudo City Hospital

キーワード :

【目的】
Pfeiffer症候群は,頭蓋縫合早期癒合症が特徴であり,頻度は1/100,000人と報告されている.眼球突出,両眼隔離,上顎低形成,くちばし状の鼻などが特徴とされ,難聴が50%に合併し,また歯の異常も多いとされている.今回,胎児超音波にて両側性の脳室拡大から水頭症来したPfeiffer症候群の一例を経験したので報告する.
【対象と方法】
症例は33才,初経妊初経産.既往歴・家族歴に特記事項なし.自然妊娠.妊娠25週で胎児脳室拡大にて当院紹介となった.
【結果と考察】
妊娠25週から27週にかけては,左側脳室の拡大(18mm)が先行し,妊娠30週を過ぎてからは右側脳室も対称性に拡大を認めた.妊娠30週6日で胎児MRIを実施した.頭蓋骨の形状が短頭であること以外には,合併奇形を指摘できなかった.水頭症による児頭骨盤不均衡のため妊娠38週3日で選択的帝王切開術にて分娩となる.3250gの女児で,Apgar scoreは6(1分値)/3(5分値)/8(10分値),新生児仮死の診断にて出生後6分で気管挿管された.出生後に,頭蓋骨早期癒合症,両側肘関節拘縮,両橈尺骨近位部変形,橈尺骨癒合症,両側難聴,咽頭喉頭軟化症,気管軟化症を認め,Pfeiffer症候群と診断された.出生後の経過のなかで症候性てんかんも診断されている.また遺伝子検査でFGFR2遺伝子(
Fibroblast growth factor receptor 2(FGFR2)<10q26.13>)変異が認められた.水頭症・脳室拡大に対しては生後5か月で頭蓋骨後方拡大術,10か月で同前方拡大術を実施した.
【結論】
頭蓋骨早期癒合症を特徴とするPfeiffer症候群の一例を経験したが,出生前診断は難しかった.一方,後方視的に検討すると,胎児の全身を丁寧に観察することで,頭蓋骨早期癒合症を疑うことは可能であったと思われる.