Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児スクリーニング・教育

(S574)

妊娠22週未満に指摘された胎児心疾患例に関する検討

Assessment of the Cases of Fetal Cardiac Diseases Identified Prior to 22 weeks’ Gestation

吉田 純, 小野 良子, 前田 佳紀, 中尾 真大, 河村 卓弥, 鈴木 僚, 川端 伊久乃, 桂木 真司

Atsushi YOSHIDA, Ryoko ONO, Yoshiki MAEDA, Masahiro NAKAO, Takuya KAWAMURA, Ryo SUZUKI, Ikuno KAWABATA, Shinji KATSURAGI

1榊原記念病院産婦人科, 2日本医科大学武蔵小杉病院産婦人科

1Department of Obstetrics and Gynecology, Sakakibara Heart Institute, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Nippon Medical School Musashi Kosugi Hospital

キーワード :

【目的】
近年,妊娠初期および中期の胎児スクリーニングの普及に伴い,妊娠22週未満で胎児異常を指摘される症例が増加している.今回われわれは,妊娠22週未満に超音波検査にて胎児心疾患が疑われ当院を受診した症例について検討したので報告する.
【方法】
平成26年9月から平成28年12月までの間に,妊娠22週未満に胎児異常が疑われ当院にて超音波検査を実施した55例のうち,胎児心疾患を伴っていた36例を対象とし,カルテ記載により後方視的に検討した.
【結果】
36例のうち院内症例は5例(14%)で他の31例(86%)は院外からの紹介例であった.平均異常指摘週数(他院での指摘を含む)は19.1週,当院精査開始週数は22.0週であった.心疾患の内訳は,心構造異常が30例(83%),構造異常を伴わない不整脈が6例(17%)であった.異常指摘の契機は,心構造異常の疑いが23例(64%),不整脈が8例(22%),NT増大が3例(8%),その他が2例(6%)であった.心構造異常疑いを契機とした23例には2例の完全大血管転位症1型が含まれ,四腔断面のみのスクリーニングでは発見困難な異常であった.妊娠転帰は,妊娠継続・分娩が29例(81%),人工妊娠中絶が5例(14%),子宮内胎児死亡が2例(6%)であった.人工妊娠中絶の平均週数は19.9週で,5例のうち4例が房室中隔欠損を伴う心奇形で,他の1例は右胸心+両大血管右室起始であった.子宮内胎児死亡の2例は12週4日および19週2日で確認されており,いずれも精査時にすでに胎児水腫を伴っていた.36例中2例で羊水染色体検査が実施され,いずれも正常の結果で妊娠継続した.
【考察】
当院での比較的短期間での検討でも胎児心疾患の異常指摘の契機はさまざまであり,このうちNT増大は胎児心疾患発見の契機となりうる所見として近年注目されている.また四腔断面のみのスクリーニングで発見困難な異常も少数ながら含まれており,今後増加していくものと思われる.人工妊娠中絶を選択した5例には,胎内診断では必ずしも児の生命予後としては不良とは思われない例も含まれていたが,一方で妊娠継続した1例の中には比較的重症度が高いと考えられている症例も含まれていた.ただし,胎児異常指摘の段階では精査が十分なされておらず妊婦・家族への説明も十分おこなわれず,22週以降の精査にてはじめて予後予測を含めた説明がおこなわれた例や,出生後の積極的治療を妊婦・家族が希望しなかった例もあった.母体保護法では人工妊娠中絶の要件に胎児異常は含まれていないが,実際には胎内診断の説明内容が妊娠継続を含めた妊婦・家族の選択に大きく影響する可能性が高く,今後検討すべき課題と思われる.