田野 翔, 清水 一紀, 山田 拓馬, 竹田 健彦, 宇野 枢, 眞山 学徳, 鵜飼 真由, 岸上 靖幸, 小口 秀紀

Sho TANO, Kazuki SHIMIZU, Takuma YAMADA, Takehiko TAKEDA, Kaname UNO, Michinori MAYAMA, Mayu UKAI, Yasuyuki KISHIGAMI, Hidenori OGUCHI

トヨタ記念病院産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, TOYOTA Memorial Hospital

キーワード :

【緒言】
子宮体癌の超音波像として，子宮内膜厚の増大や子宮内膜の血流増加が特徴とされるが，従来の血流表示法では検出に限界があった．Superb Microvascular Imaging（SMI）は低流速の血流を明瞭に可視化する優れた血流表示法であり1），モノクロ表示のmonochrome SMI（mSMI）とカラー表示のcolor-coded SMI（cSMI）がある．前者は低流速に対しより鋭敏であるが残存するモーションアーチファクトも表示される可能性があり，後者はより血流の可能性の高い信号のみを表示する方法である．子宮体癌におけるSMIの有用性について検討された報告はない．
【目的】
今回我々は子宮内膜およびその周囲の子宮筋層の血流をSMIで微細に可視化できるかを検討した．
【対象，方法】
2015年9月から2016年8月までの間に当院で診断，治療した子宮体癌16例と，コントロール群として同時期に診察した正常女性33例を対象に，経腟超音波断層法で子宮内膜厚を測定し，子宮内膜とその周囲の子宮筋層の血流を描出し，血流の有無と血流画像の比較を行った．血流の評価はToshiba Aplio 500のColor Doppler Imaging（CDI），Advanced Dynamic Flow（ADF），Power Doppler Imaging（PDI），mSMI，cSMIで測定した．
【結果・考察】
子宮体癌群とコントロール群の平均年齢は57.7歳，47.9歳で，平均子宮内膜厚は16.3 mm，5.8 mmであった．CDI，ADF，PDI，mSMI，cSMIにおける子宮体癌群の血流描出率は56.2％，81.2％，100％，100％，100％で，その中で微細な血流を評価できた症例は22.2％，23％，37.5％，75％，62.5％であった．コントロール群では全ての症例で血流は認めなかった．SMIではPDIに比較して血管のにじみ現象が極端に少なく，より微細な血管走行を描出できた．
【結論】
子宮体癌におけるSMIは，従来の表示法では描出できなかった血流を可視化でき，SMIで腫瘍や腫瘍周囲の血流の評価が可能であった．
【文献】
1.Yan M, Gang L, Jing Li, et al. The diagnotic Value of superb Microvascular imaging（SMI）in detecting blood flow signals of breast lesions. Medicine. 2015;94:1-6.