Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 産婦人科
分娩

(S561)

経会陰超音波を用いた鉗子分娩における新生児眼瞼部圧痕の予測

Prediction of neonatal eyelid impression of forceps delivery with trans-perineal ultrasound

山本 亮, 石井 桂介, 林 周作, 光田 信明

Ryo YAMAMOTO, Keisuke ISHII, Shusaku HAYASHI, Nobuaki MITSUDA

大阪府立母子保健総合医療センター産科

Maternal fetal medicine, Osaka medical center and research institute for maternal and child health

キーワード :

【緒言】
器械分娩では自然経腟分娩よりも外傷の頻度が高く,外傷による新生児合併症の一つに網膜出血等の眼科的合併症があり,吸引分娩に比して鉗子分娩でより頻度が高い.鉗子による眼部の圧迫は,児の矢状縫合が骨盤縦径に対して傾いている場合により起こりやすいと推測されるが,児頭の回旋と鉗子による眼瞼部圧迫との関連について客観的な指標を用いて評価した報告は無い.本研究では,鉗子分娩直前の経会陰超音波検査を用いた児頭回旋の所見と新生児の眼瞼部鉗子圧痕の関連を明らかにする.
【対象と方法】
2014年10月から2016年11月の期間に鉗子分娩が試行された頭位の症例を対象とした,単施設後方視的コホート研究である.経会陰超音波検査から分娩まで15分以上経過していた症例および超音波検査データ欠損例は除外した.鉗子分娩の適否は内診によって判断し,鉗子分娩試行前に経会陰超音波検査を行った.超音波検査機器はVoluson S8(GE Healthcare)を用い,児頭と母体恥骨を含む3D volume dataまたは2D横断面を保存した.児頭回旋を評価するパラメータであるmidline angle(MLA,母体横断面における恥骨長軸との垂線と児頭矢状縫合に一致する中央線との角度)を分娩後に計測した.3D volume dataにおける計測は,解析ソフトSono VCAD labor(GE Healthcare)を用いた.評価項目は新生児の眼瞼部の圧痕の有無とした.圧痕の有無は分娩直後に新生児科医によって評価され,圧痕を有する症例では眼科医による眼合併症の除外が行われた.MLAを10°毎にカテゴリ化し,眼瞼部圧痕に対する調整オッズ比を多重ロジスティック回帰分析で算出した.調整因子は,初産,妊娠糖尿病(GDM),胎児発育不全(FGR),分娩時BMI≧25kg/m2,オキシトシン投与,硬膜外麻酔のうち単変量解析でP<0.20であるものとした.またROC曲線を用いてMLAの最適なカットオフ値を算出し,MLAの信頼度を検討した.
【結果】
対象198症例のうち,78例を除外した120例を解析対象とした.母体背景として,分娩時年齢は中央値37(18-45)歳,分娩時BMIは中央値24.4(15.9-37.0)kg/m2,初産婦が111例(93%),GDMが9例(7.5%),FGRが3例(2.5%)であった.分娩時期は中央値39(36-41)週であり,オキシトシン投与は95例(79%),硬膜外麻酔は43例(36%)で行われた.2例(1.7%)は鉗子分娩試行後に緊急帝王切開となった.MLAは中央値17(0-63)°であった.眼瞼部圧痕は28例(23%)で認められ,網膜前出血と角膜創傷が1例ずつであった.MLAの眼瞼部圧痕に対する調整オッズ比は1.72(95%信頼区間:1.26-2.42,P=0.011)であった.MLAの至適カットオフ値は15°であり,眼瞼部圧痕に対する感度は86%,特異度は51%,陽性適中率は35%,陰性適中率は92%であった.
【結論】
鉗子分娩前の経会陰超音波によるMLAが大きいことは,新生児眼瞼部圧痕の独立したリスク因子であった.鉗子分娩試行前の経会陰超音波による児頭回旋の評価は,分娩方法の選択に有用である可能性がある.