Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎盤・前置血管

(S558)

MRI-US fusion技術を用いた癒着胎盤所見の比較

Magnetic resonance imaging and ultrasound fusion imaging for the evaluation of placental invasion

青木 宏明, 北井 里実, 松岡 知奈, 小西 晶子, 山村 倫啓, 井上 桃子, 種元 智洋, 佐村 修, 平野 恵美, 岡本 愛光

Hiroaki AOKI, Satomi KITAI, Tomona MATSUOKA, Akiko KONISHI, Michihiro YAMAMURA, Momoko INOUE, Tomohiro TANEMOTO, Osamu SAMURA, Emi HIRANO, Aikou OKAMOTO

1東京慈恵会医科大学附属病院産婦人科, 2東京慈恵会医科大学附属病院放射線科, 3東京慈恵会医科大学附属病院放射線部

1Obstetrics and Gynecology, The Jikei University School of Medicine, 2Radiology, The Jikei University School of Medicine, 3Radiation department, The Jikei University School of Medicine

キーワード :

【緒言】
癒着胎盤は分娩時に大量の出血を来すリスクが高いため,事前に癒着胎盤を診断することで周到な準備をして分娩に臨むことができる.癒着胎盤の診断は,安価で汎用性の高い超音波検査により行われることが多いが,超音波診断が疑わしい場合や後壁付着で診断が困難な場合などにMRI検査が行われることが多い.超音波検査とMRI検査それぞれに癒着胎盤に特徴的な所見が報告されているが,それぞれの所見の関係性ははっきりしていない.癒着胎盤が疑われる症例に対してMRIと超音波検査のリアルタイムでの融合(MRI-US fusion)を行い,比較検討したので報告する.
【方法】
超音波で癒着胎盤が疑われる症例に対して,MRI検査を胎盤プロトコルで撮影し,一両日中にTOSHIBA Aplio 500のSmart fusionを用い経腹超音波検査を施行した.MRIと超音波のfusionには母体の臍,恥骨,膀胱を位置決めに用いた.MRIで癒着胎盤を疑う所見であるT2強調像での胎盤内低信号域(T2 dark band),胎盤内異常拡張血管について胎盤内ラクナ等の超音波所見とリアルタイムでfusionし,比較検討した.
【結果】
癒着胎盤疑われる13症例にMRI-US fusionを施行し,11例でMRIと超音波のfusionは良好に行われた.13例中3例が臨床的に癒着胎盤であった.
超音波所見における胎盤内ラクナはMRIのT2強調画像で低信号あるいは高信号に描出された.一方MRI所見における拡張した異常血管像は超音波ドップラ法による血管像と関連し,T2 dark bandは超音波でははっきりと描出できなかった.
【結論】
MRI-US fusionにて癒着胎盤を疑う超音波所見とMRI所見をリアルタイムで比較した.MRIにおけるT2 dark bandや異常血管像は超音波所見のラクナと同一のものではなく,超音波所見とMRIは癒着胎盤の診断において相補的な役割を果たし,超音波検査とMRI検査を組み合わせることにより癒着胎盤の診断精度が上がる可能性が示唆された.