Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児異常(腹部・外性器)・発育

(S555)

胎児超音波検査で外性器異常を認め,出生後に性決定を行った6症例

6 cases with abnormal external genitalia diagnosed in fetal ultrasound and determined whom sex with chromosomal examination after birth

立山 彩子

Ayako TATEYAMA

大阪府立母子保健総合医療センター産科

Obstetrics, Osaka Medical Center And Research Institute For Maternal And Child Health

キーワード :

【はじめに】
性別は個人の一生を左右するものであり,性別決定が遅れた場合には,児や家族の重大な心理社会的な問題を引き起こす場合がある.このため,出生後早期に正確な性別決定を行うことは,家族の心理的負担の軽減や,成長発育に応じた治療戦略を立てる上で重要と考える.胎児超音波検査は多くの先天異常の出生前診断を可能としたが,外性器異常は胎児期に診断されることなく出生後に初めて診断されることも多い.当院では,出生後に外性器の形態から性決定が困難な症例に対し,性決定を多方向の視点から行うことを目的としており,新生児科,内分泌科,臨床遺伝学科をはじめとする関連各科が連携した「性決定委員会」が協議して性決定を行う,という取り組みを実施している.今回,当院の胎児超音波検査で外性器異常を指摘され,出生後に性決定委員会による性決定が必要であった6症例について報告する.
【症例報告】
2009年1月から2016年12月の8年間で,当院の胎児超音波検査で外性器異常を指摘され,出生後に性決定を行った症例は6例であった.出生後診断は,6例中5例が尿道下裂であり,胎児超音波検査では,陰嚢を認め,陰茎が尾側に偏位する尿道下裂に典型的な画像が見られた.うち2例は尿道下裂に心奇形を合併していた.1例は尿道下裂に両側停留精巣を合併していた.尿道下裂と診断された5例は,出生後の染色体検査で46,XYであり,SRY陽性であった.FISHの結果を待ち,内分泌学的検査,画像検査を考慮したうえで,性決定委員会によって協議し,約1週間で男児と性決定を行った.残る1例は総排泄腔遺残を伴う半陰陽であった.胎児超音波検査では,外性器は肥大した陰唇様の隆起を認め,膀胱の背側に10mm×10mm大の嚢胞を認めていた.出生後の染色体検査では,日齢7日目にFISHでY染色体を認めず,SRY陰性であった.内分泌学的検査で日齢0のテストステロンが高値であったが自然に低下し,日齢14のG-band法で46,XXと判明し,性決定員会により女児と決定した.
【考察】
外性器の形態異常を認める症例に対して,胎児診断を含め,関連各科が連携し性決定を迅速に行うことが重要であると考える.