Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児異常(気道・肺)

(S552)

当院で経験したNager症候群の1例

A case of Nager syndrome

早田 桂, 牧 尉太, 江口 武志, 玉田 祥子, 衛藤 英理子, 増山 寿, 平松 祐司

Kei HAYATA, Jota MAKI, Takeshi EGUCHI, Shoko TAMADA, Eriko ETO, Hisashi MASUYAMA, Yuji HIRAMATSU

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科婦人科学教室

Departments of Obstetrics and Gynecology, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Science

キーワード :

【背景】
Nager症候群は,重度の小顎,上肢短縮からなる優性遺伝疾患であり,妊娠30週相当児での羊水過多症のもとで著しい下顎の低形成,耳介奇形,腕の長管骨の乏しい骨化を出生前の超音波で示すことで診断される.今回,上肢短縮を契機に胎児超音波診断を行い,胎児MRIや3D‐CTを組み合わせ,Nager症候群の可能性を念頭に分娩に臨んだ1例を経験したので報告する.
【症例】
27歳,0経妊.家族歴に特記事項なし.自然妊娠後,前医で妊娠26週時に羊水過多,両側前腕欠損とVSDを指摘され,染色体数的異常除外診断のため羊水染色体検査(G分染法)を行い46,XYと正常核型であった.32週時に精査管理目的として当院紹介.推定体重2056g(‐0.8SD),胃胞は確認可能だが,AFI54cmで著明な羊水過多と,胎児顔面の矢状断で小さい下顎を認め,小顎症があることを診断した.また上肢は肩から指先まで7.4cmで,著明な上肢短縮であった.下肢には長管骨短縮などの異常所見は認めなかった.胎児MRI,胎児3D‐CT検査でも同様に上肢短縮と下顎形成不全を認めた.前期破水3日目の妊娠36週6日に,経腟分娩で2033gの男児をApger scre2点(1分値)/5点(5分値)で出産した.出生時,第一啼泣なく筋緊張なし.速やかに蘇生台へ移動しバッグ換気を行うも全身性チアノーゼ,心拍70回/分,ラリンゲアルマスクを挿入するも有効換気得られず.気管挿管を試みるも著明な小顎,舌根沈下のため喉頭展開できず,バッグマスクでのみ換気可能な状況であった.5分後にSpO2 80%,皮膚色全身性チアノーゼ,筋緊張低下のままであり,外科的気道確保が必要と判断し,出生から10分後に待機していた小児外科医により気管切開を行い気道確保された.VSD,(両側)橈骨欠損,(両側)腓骨欠損,(両側)外耳道閉鎖,合指症,眼瞼裂斜下,小顎症あり.胎児期に著明な羊水過多を認めたが,severeな小顎による舌根沈下が原因の嚥下困難であったと考えられた.遺伝子検査提出し,Nager症候群が確定診断した.
【結論】
胎児小顎症は,胎児発育不全,骨の異形成,先天性心疾患,羊水過多症を含む合併奇形と高い関連性があり,小顎症単独という診断は考えにくい.今回は小顎症に著明な上肢短縮を伴っていたことから,出生直前にNager症候群の可能性も念頭に置き,他部署と連携を図ることで,出生直後からの気道閉塞に対する気管開口術が,直ちに介入できたと考える.