Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
肝腫瘤3

(S549)

体腔内超音波ガイドによる腹腔鏡下ラジオ波焼灼術の有用性と安全性の検討

Efficacy and safety of laparoscopic ultrasound-guided radiofrequency ablation

森本 直樹

Naoki MORIMOTO

自治医科大学消化器内科

Division of Gastroenterology, Department of Internal Medicine, Jichi Medical University

キーワード :

【目的】
ラジオ波焼灼術(RFA)は,肝細胞癌治療アルゴリズムにおいて根治的治療法のひとつとして広く施行されている.当科では以前より腫瘍の存在部位に関わらず腹腔鏡下RFAを施行している.今回体腔内超音波ガイド下穿刺の方法や工夫を紹介するとともに,その有用性,安全性について検討した.
【方法】
腹腔鏡下RFAは,Milan criteria内の症例を対象に全身麻酔下に施行する.11mmのカメラポートの他,12mmの体腔内超音波プローブ用,5mmの各種鉗子用の3ポートでアプローチする.使用機器は超音波診断装置Aplio 300,リニア式体腔内超音波プローブPET-805LA 7MHz, TOSHIBAを使用.体位変換と生理食塩水注入(immersion method)にて,良好なエコーウインドウが得られるとともに,肝表や横隔膜直下の病変でも近接臓器との間に物理的距離が確保され熱損傷を回避できる.実際の穿刺は金属製誘導針を用いて肝内で穿刺ルートを微調整してより安全かつ正確な穿刺を行う.Multipolar RFAでは計画通りの凝固域を得るためにdosimetry tableに則した平行穿刺と,可能な限りno-touch ablationを目指す.
【結果】
対象症例は2014年以降当科にて腹腔鏡下RFAを施行した連続症例204例354結節.平均年齢68.3才,Child-Pugh A/B/C: 175/28/1,単発105例,多発99例,平均主腫瘍径は21.3 mm(6-44)であった.Monopolar RFAを103例にmultipolar RFAを101例に施行した.遅発性に難治性胸腹水を3例に認めたが,腹腔内出血を含め手技関連合併症は認めず全例が術後4-8日で退院した.観察期間中央値1.54年(0.2-3.0).治療部再発を2例に認めるもいずれもRFAにて再治療し,肝不全死3例,他病死3例で3年生存率は89.8%であった.
【結論】
腹腔鏡下体腔内超音波ガイドでの穿刺治療は,肋骨やエコーウインドウによる穿刺位置の制限がなく,肝内のほとんどの部位に自由度高く施行可能であり比較的良好な治療成績が得られた.特にMultipolar RFAでは複数本の針を計画通りに正確に刺入する必要があり,有用なアプローチ法のひとつと考えられた.