Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
肝腫瘤2

(S547)

肝悪性リンパ腫13例の造影超音波所見の検討

A study of contrast-enhanced ultrasound findings of hepatic malignant lymphoma 13 cases

奥田 安範, 大杉 増美, 大塚 康弘, 高石 修, 森 いづみ, 平岡 淳, 二宮 朋之

Yasunori OKUDA, Masumi OSUGI, Yasuhiro OTSUKA, Osamu TAKAISHI, Izumi MORI, Atsushi HIRAOKA, Tomoyuki NINOMIYA

1愛媛県立中央病院検査部, 2愛媛県立中央病院消化器内科

1Department of Clinical Laboratory, Ehime Prefectural Central Hospital, 2Department of Gastroenterology and Hepatology, Ehime Prefectural Central Hospital

キーワード :

【はじめに】
腫瘤性の肝悪性リンパ腫は希な疾患であり報告例が少なく,肝内胆管癌や転移性肝癌,肝細胞癌との鑑別が難しいことがある.当院で経験した肝悪性リンパ腫の造影超音波所見を検討した.
【対象と方法】
当院で2007年1月から2016年12月に肝腫瘤に対してソナゾイド造影超音波検査を施行し,肝生検もしくは肝切除標本の病理組織診で悪性リンパ腫と確定診断された13例[男性8例,女性5例,平均年齢74.0±11.5歳,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(以下,DLBCL)10例,MALTリンパ腫1例,Hodgkinリンパ腫1例,メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(以下,MTX-LPD)1例].
超音波診断装置および探触子には,Logic E9(GEヘルスケアジャパン):C-1-5-D(3.4MHz,コンベックスプローブ),HI VISION Preirus(日立製作所):EUP-C715(3.0MHz,コンベックスプローブ),EUB7500(日立製作所):EUP-C715(3.0MHz,コンベックスプローブ)を使用した.MI値を0.2~0.26に設定し,ソナゾイド(第一三共)は懸濁液0.5mlを静注した.超音波所見の判定は,超音波指導医1名と経験年数5年以上の超音波検査士(消化器領域)3名がretrospectiveに行った.
【結果】
動脈優位相では,1例(DLBCL)は肝実質より遅れて濃染したが,その他の12例[DLBCL9例,MALTリンパ腫1例,Hodgkinリンパ腫1例,MTX-LPD 1例]は肝実質より早期もしくは同時に濃染した.それら12例中8例は,内部を貫通する肝動脈や近傍の肝動脈と連続する腫瘤内部の樹状血管から造影された.腫瘤サイズで検討すると,MALTリンパ腫を除く腫瘤径が30mmより大きな腫瘤4例(DLBCL3例,MTX-LPD 1例)は腫瘤内部に点状の造影効果を認め,不均一に濃染した.腫瘤径が30mm以下の8例(DLBCL7例,Hodgkinリンパ腫1例)は均一に濃染した.門脈優位相は全例でwash outされ,後血管相は全例で欠損像を呈した.
【結語】
腫瘤内部の樹状血管は肝悪性リンパ腫に特徴的な所見であるとされるが,比較的小さなものでは全体が均一に造影されており,腫瘤サイズによって異なる造影所見を呈する可能性が示唆された.しかしながら,組織型による造影パターンの違いは明らかでなかった.今後,症例数を増やして検討していきたい.