塩澤 一恵, 渡邉 学, 池原 孝, 荻野 悠, 松清 靖, 篠原 美絵, 工藤 岳秀, 丸山 憲一, 五十嵐 良典, 住野 泰清

Kazue SHIOZAWA, Manabu WATANABE, Takashi IKEHARA, Yu OGINO, Yasushi MATSUKIYO, Mie SHINOHARA, Takahide KUDO, Kenichi MARUYAMA, Yoshinori IGARASHI, Yasukiyo SUMINO

¹東邦大学医療センター大森病院消化器内科, ²東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部

¹Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine, Toho University Medical Center Omori Hospital, ²Department of Clinical Functional Physiology, Toho University Medical Center Omori Hospital

キーワード :

【目的】
肝細胞癌（HCC）に対する薬剤溶出ビーズを用いた肝動脈塞栓術（DEB-TACE）においてより有効な治療効果を得るためにDEB-TACE施行前・中・後に経カテーテル的CEUS（以下IAUS）を施行しその有用性について検討した．
【方法】
対象はUSで描出可能，DEB-TACEとIAUSに同意し，治療直後（3日以内）にCEUSが施行され，治療1ヶ月以降にCEUSまたはCECTでの評価が可能であったHCC30例37結節．年齢（中央値）は70.5歳，背景肝はHBV4，HCV11，アルコール13，NASH2例，腫瘍径（中央値）は21mm，全例塩酸エピルビシン50mgとDCビーズ（100～300μm）を含浸させ使用した．腹部血管撮影にて対象とする腫瘍濃染を確認後，選択的にカニュレーションしDEB-TACE前・中・後にIAUSを施行した．超音波診断装置は東芝Aplio400/XG，3.75MHZコンベックスプローブを使用，MI値は0.2，焦点位置は結節下縁に設定，ソナゾイドは0.5mlを蒸留水19.5mlで希釈し，0.1～0.5mlずつ適宜投与した．IAUSにより治療前：栄養血管の同定および腫瘍染影の確認，治療中：腫瘍の染影動態を適宜評価，治療後：可能な限り腫瘍染影の消失を確認し治療を終了した．検討1：DEB-TACE終了時のIAUSで腫瘍染影が消失または残存（すべての栄養血管が選択できなかった可能性あり），検討2：DEB-TACE後に保存動画を再評価し治療が適切（完遂）か否（非完遂）かを判断，検討3：治療直後（3日以内）のCEUSと治療1ヶ月，3～6ヶ月後，12ヶ月後の画像評価（CR/PR/SD/PD）．本検討は当院倫理委員会の承認を得ている．
【結果】
治療終了時のIAUSで腫瘍染影が消失31，残存6結節であった．染影が消失した31結節のうち，保存動画の再評価で完遂25，非完遂6結節で，治療が完遂した25結節のうち，治療直後のCEUSでCR21，PR4，治療1ヶ月後の画像評価ではCR24，PR1（PR3結節がCRへ），3～6ヶ月後ではCR24結節中2結節がPRへ，PR1結節がCRとなった．治療3～6ヶ月後でCR23結節中，16結節が治療12ヶ月後の画像評価が可能であり，16結節中CR14，PD2結節であった．治療が非完遂であった6結節のうち，治療直後のCEUSではCR1，PR4，SD1，治療1ヶ月後の画像評価ではCR0，PR4，SD2であった．治療終了時のIAUSで腫瘍染影が残存した6結節において，治療直後のCEUSは全例PR，治療1ヶ月後の画像評価ではPR3，SD2，PD1結節であった．治療3～6ヶ月後のCR率は62.2％（23/37），CRが得られなかった14結節は全例追加治療が施行された．
【結語】
HCCに対するDEB-TACEにおいて，IAUSを併用することでDEB-TACEの治療成績を向上させる可能性が示唆された．