Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
肝腫瘤1

(S543)

肝腫瘤生検におけるソナゾイド造影の積極的併用は診断精度の向上に寄与する

Sonazoid-enhanced ultrasonography guidance improves the quality of pathological diagnosis in the biopsy of focal hepatic lesions

恵荘 裕嗣, 竹田 治彦, 松本 知訓, 李 宗南, 船越 真木子, 高井 淳, 高橋 健, 上田 佳秀, 丸澤 宏之, 妹尾 浩

Yuji ESO, Haruhiko TAKEDA, Tomonori MATSUMOTO, Minami LEE, Makiko FUNAKOSHI, Atsushi TAKAI, Ken TAKAHASHI, Yoshihide UEDA, Hiroyuki MARUSWA, Hiroshi SENO

1京都大学医学部附属病院消化器内科, 2京都大学医学部附属病院先端医療・生活習慣病研究センター

1Gastroenterology and Hepatology, Kyoto University Hospital, 2Clinical Research Center for Medical Equipment Development (CRCMeD), Kyoto University Hospital

キーワード :

【目的】
Sonazoid造影は肝腫瘍の診断のみならず,超音波ガイド下肝腫瘍生検およびRFAにおける支援として活用されている.近年の分子標的治療薬の進歩や,当院における癌関連遺伝子の変異解析(Oncoprime;がんクリニカルシーケンス検査)の導入に伴い,肝腫瘍生検の依頼件数が増加している.また変異検出率向上のためには,腫瘍部を多く含む,Qualityの高い組織採取が求められている.Sonazoid造影ガイドが肝生検組織のQualityの向上に寄与しているかどうかを検討した.
【対象と方法】
2012年以降に当院で超音波ガイド下に肝生検を行った127例140結節(平均径24.9mm)を検討対象とした.悪性結節の場合は明確な病理診断が得られたもの,良性結節の場合は事前の画像診断に合致し,かつ3~6ヶ月後の経過観察で画像的変化を認めなかったものをTechnical Successと定義した.組織採取が少しでも不十分で明確な病理診断が困難であったもの及び,再生検にて診断が変化したものはTechnical Failureとした.
【結果】
57結節はB-modeガイド下に,83結節はSonazoid造影ガイド下に生検が行われ,両群の結節径および背景因子に有意差は認めなかった.B-mode群では43/57結節(75.4%)が,Sonazoid群では76/83結節(91.6%)がTechnical Successと判定された.結節径20mm以内のものに限っても,B-mode群の19/29結節(65.6%)に対して,Sonazoid群では42/48結節(87.5%)がTechnical Successと判定され,結節径の大小にかかわらずSonazoid造影を併用することで,質の高い組織の採取が可能であった.また穿刺回数の比較においても,Sonazoid群はB-mode群と比較して有意に少ない穿刺回数に抑えることが可能であった.
【結論】
超音波ガイド下肝腫瘍生検において,ターゲットがB-modeで視認可能な場合においても,積極的にSonazoid造影を併用することは,採取組織の質を高め,診断精度の向上に寄与する.