Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
エラストグラフィ4

(S541)

慢性肝疾患におけるShear wave elastographyと腹腔鏡下肝生検による肝線維化診断

Liver fibrosis diagnosis by Shear wave elastography and the laparoscopic liver biopsy in chronic liver disease

高田 ひとみ, 安井 豊, 玉城 信治, 中西 裕之, 土谷 薫, 板倉 潤, 黒崎 雅之, 泉 並木

Hitomi TAKADA, Yutaka YASUI, Nobuharu TAMAKI, Hiroyuki NAKANISHI, Kaoru TSUCHIYA, Jun ITAKURA, Masayuki KUROSAKI, Namiki IZUMI

武蔵野赤十字病院消化器科

Gastroenterology and Hepatology, Musashino Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
Shear wave elastography(SWE)は肝線維化評価において病理診断との相関が多数のメタアナリシスにより証明された,非侵襲的な評価法の一つである.今回我々はSWEと腹腔鏡所見による線維化評価,組織学的評価について比較検討した.
【方法】
2015年2月から2015年11月までに腹腔鏡下肝生検を施行した慢性肝疾患患者のうち,肝生検直前にSWEで肝硬度を測定し肝線維化の評価を行った85例を対象とした.肝硬度の測定にはACUSON S2000(Siemens Medical Systems)を用い,空腹時に仰臥位右肋間から肝右葉を描出しVelocity of shear wave(Vs値(m/s))の測定を5回行いその平均値を用いた.肝硬度測定後に腹腔鏡で肝表面の観察を行い,13GのSilverman針を用い肝生検を施行した.one-way ANOVA,Pearson相関係数を用い,肝硬度,腹腔鏡所見による線維化評価と,組織学的評価を比較検討した.
【結果】
年齢の中央値は61(15-84)歳,男性65例,背景肝はHBV/HCV/NBNCは17/56/12例であった.肝生検による組織学的な線維化stage(F stage)はF0/F1/F2/F3/F4:11/27/19/19/9例,腹腔鏡所見による線維化stage(Lapa stage)はstage0/1/2/3/4:1/11/16/12/12例であった.Vs値はF0/F1/F2/F3/F4:1.2±0.22/1.3±0.26/1.3±0.47/1.7±0.39/1.9±0.47 m/sであり,線維化の進行に伴い上昇した.Vs値と有意な相関関係を示すのはF stage,Lapa stage,血小板値であった.
HCV56例のみにおける,F stageはF0/F1/F2/F3/F4:7/18/12/13/6例だった.Lapa stageはstage1/2/3/4:7/12/9/10例で,残りの18例は大網被覆等による観察不良例であった.Vs値はF0/F1/F2/F3/F4:1.1±0.24/1.3±0.22/1.3±0.56/1.6±0.44/2.1±0.47 m/sであり,線維化の進行に伴い上昇した.Vs値と有意な相関関係を示すのはF stage,Lapa stage,血小板値,FIB-4 indexであった.F3/4判別のVs cut off値は1.51m/sで,AUCは0.8272であった.Vs値高値にも関わらず,組織学的に線維化が軽度であった症例は4例で,トランスアミナーゼ上昇を認めた3例,BMI25以上の肥満の1例であった.
Lapa stageとF stageの乖離例は8例存在し,内訳はLapa stage進行かつF stage非進行の6例と,Lapa stage非進行かつF stage進行の2例であった.乖離例のうち6例はVs値が1.51m/s未満と低い症例であった.
【結論】
Vs値による肝硬度の評価はF stageと相関を示し,肝線維化進展例の囲い込みに有用である.