梅原 さや香, 栗原 明日香, 武田 由紀, 栗本 紀子, 本澤 和恵, 佐川 智美, 渡邉 直美, 三嶋 隆之, 濱田 晃市, 斎藤 聡

Sayaka UMEHARA, Asuka KURIHARA, Yuki TAKEDA, Noriko KURIMOTO, Kazue MOTOSAWA, Tomomi SAGAWA, Naomi WATANEBE, Takayuki MISHIMA, Koichi HAMADA, Satoshi SAITOH

¹一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院臨床検査科, ²一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院消化器内科, ³虎の門病院肝臓センター

¹Department of Clinical Laboratory, Southern Tohoku General Hospital, ²Department of Gastroenteroloty, Southern Tohoku General Hospital, ³Department of Hepatology, Toranomon Hospital

キーワード :

【目的】
Aixplorer（Ver10）はペネトレーションの向上と多重反射の低減した単結晶プローブの搭載とソフトウエアではShearWave Elastography（SWE）のフレームレイトの向上とSWE計測の安定性を数値表示したStability Indexが搭載され，より確かな肝硬度の定量評価が期待される．びまん性肝疾患では線維化評価が重要である．これまで，侵襲性のある肝生検がゴールドスタンダードとされてきたが，高齢化と繰り返し検査が必要とされる現在，非侵襲的な検査が重要となる．肝生検に代わりうるエラストグラフィーが代替え検査として重要な位置を占めると思われる．当院ではAixplorerによるSWEで肝硬度測定を延べ7860例施行してきた．ウィルス性肝疾患では安定した肝硬度測定が可能であった．一方，皮下の厚い，NAFLDでは肝硬度測定には限界がみられていた．今回，Aixplorer（Ver10）によるSWEの肝硬度測定を施行したので報告する．
【対象と方法】
対象は各種慢性肝疾患63症例．年齢37-91歳（中央値65歳），男女比35：28，BMIは17-42（中央値23），皮下厚は10mm未満2例，10-15mm 13例，16-20mm 29例，21-25mm 11例，26-30mm 8例．内訳はHCV25例，HBV11例，アルコール性11例，NAFLD12例，PBC1例，AIH2例，Osler病1例．SWEはAixplorer（Ver10）（SSI社製）を使用した．SWEは右肋間より複数のカラーコードマップよりアーチファクトの少ない最良の画像を選択，皮下厚に応じて肝表面より3-4cm部位でROIは直径1cmにて3回測定，中央値を採用．カラーコードマップは正常肝の上限6kPa以下を青に設定．検討項目は1．再現性，2．Fib-4 Index・APRIとの相関，3．皮下厚の影響，4．MRエラストグラフィー（MRE）との相関に関して検討した．
【成績】
1．肝硬度測定は有腹水例2例を含めて全例可能であった．再現性はStability Index90％以上で良好であった．2．血液生化学検査との比較ではFib-4 Indexとの相関係数はr=0.7095，APRIとの相関係数はr=0.6132であった．3．皮下厚の影響は対象が3cmまでの症例であったが，肝硬度の関係はみられず，脂肪肝の有無でも影響がみられなかった．4．MREとの相関係数はr=0.9011であった．
【結語】
Aixplorer（Ver10）は単結晶プローブ搭載により，Bモード診断がより正確になり，皮下の厚い症例を含めて，全例で安定したカラーコードマップが得られ，肝硬度測定が可能であった．血液生化学検査による線維化測定とも相関関係がみられ，MREとも良好な相関関係が得られた．また，SWE計測時にStability Indexを用いることにより検者側のばらつきも軽減できると考えられた．今後，症例数を増やして検討中である．