Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
エラストグラフィ4

(S540)

非肥満症例におけるFibroScan XLプローブの有用性

Usefullness XL probe of FibroScan in obese patients

大枝 敏, 小野 尚文, 窪津 祥仁, 田中 賢一, 高橋 宏和, 江口 有一郎

Satoshi OEDA, Naofumi ONO, Yoshihito KUBOTSU, Kenichi TANAKA, Hirokazu TAKAHASHI, Yuichiro EGUCHI

1佐賀大学医学部附属病院肝疾患センター, 2ロコメディカル江口病院内科, 3佐賀大学医学部内科学

1Liver Center, Saga University Hospital, 2Internal Medicine, Eguchi Hospital, 3Internal Medicine, Faculty of Medicine, Saga University

キーワード :

【背景】
FibroScanによる肝硬度(LSM)はMプローブ(FS-M)に比べXLプローブ(FS-XL)では低値となり,特にBMI30以上では顕著である(de Ldinghen V, et al. J Hepatol. 2012).また,皮膚肝表距離が17.5mm以上になると,距離の増加とともにその差は顕著になると報告されている(Kumagai E, et al. J Gastroenterol. 2016).本邦ではFS-Mで事足りることが多いが,肥満症例も散見されF-XLの必要性も上がっている.非肥満症例において,LSMおよびcontrolled attenuation parameter(CAP)が両プローブで同様の検査結果が得られるのであれば,全例をFS-XLで測定することにより検査時のプローブ変更の手間や購入費用面で有益であると考えられる.
【目的】
非肥満症例(BMI30未満)において,FS-MとFS-XLでのLSM・CAP値の検査結果の違いを比較すること.
【対象・方法】
2016年8-9月に,同日に両プローブにてLSM・CAP値測定を行った48例.LSM・CAP値について,Wilcoxonの符号付順位検定を用いて両プローブ間の群間比較を行った.
【結果】
解析対象は肥満4症例を除外した44例(男性21例).年齢中央値65.5歳(範囲,27-87),背景肝はHBV11例/HCV19例(SVR後12例含む)/NAFLD8例/その他6例,BMI中央値22.9(範囲,17.0-29.2),皮膚肝表距離16.2mm(範囲,9.6-25.6).48例中1例(BMI,34.6,皮膚肝表距離,24.6mm)はXLプローブでしか有効な検査結果が得られなかったが,解析対象である44例は両プローブで有効な測定結果が得られた.FS-XLでのLSM値をLSM_XL,FS-MによるLSMをLSM_Mとすると,73%(32/44例)が(LSM_XL-LSM_M)/LSM_M×100<±30%であった.同様にCAPについては89%(39/44例)が30%未満であった.LSM・CAP値ともに両プローブ間に有意差は認めなかった(p=0.408,p=0.815).同様の解析にて四分位範囲/中央値×100(%)に関しては,LSM・CAP値ともに両プローブ間に有意差を認めた(p<0.001).FS-XLの方が高値すなわちらつきが大きい特徴があった.
【結論】
非肥満症例においてLSM・CAP値ともにFS-MとFS-XLでは検査結果に違いはなかった.