Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
脂肪肝2

(S531)

超音波減衰量パラメトリックイメージの検討-減衰係数計測時のモニタ画像として

A consideration on the optimum expression of attenuation parametric image during measurement of attenuation coefficient

大栗 拓真, 神山 直久, 野口 幸代, 黒田 英克, 阿部 珠美, 藤原 裕大, 三上 有里子, 滝川 康裕

Takuma OGURI, Naohisa KAMIYAMA, Sachiyo NOGUCHI, Hidekatsu KURODA, Tamami ABE, Yudai FUJIWARA, Yuriko MIKAMI, Yasuhiro TAKIKAWA

1GEヘルスケア・ジャパン株式会社超音波製品開発部, 2岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野

1Ultrasound General Imaging, GE Healthcare, 2Division of Hepatology, Department of Internal Medicine, Iwate Medical University

キーワード :

【背景と目的】
超音波の減衰量は脂肪肝の評価に有用であることが知られており,我々は汎用超音波画像診断装置を用いた減衰計測機能の開発を試みている[1].減衰計測時のモニタ画像としてB-mode画像を利用することでより適切な計測断面の確保が可能となると期待されるが,局所での減衰量を用いたパラメトリックイメージも有用となると予想される.そのため,モニタ画像として効果的な減衰量パラメトリックイメージについて検討した.
【対象と方法】
対象は肝生検検査と同日にRF信号の取得を施行した慢性肝疾患のうち,脂肪割合が0.0および65.4%である代表的2例を用いた.RF信号の取得には超音波診断装置(LOGIQ E9)および腹部系凸プローブ(C1-6-D)を使用し,送受信周波数は3.0 MHzに設定した.
文献[1]の手法に基づき,取得したRF信号に対して,関心領域(ROI)を移動させながら局所的な減衰係数[dB/cm/MHz]を解析し,結果の値をB-mode画像へ重畳することで減衰量パラメトリックイメージを作成した.また,空間分解能と視認性の関係を確認するために,ROIの深度距離を2.0および5.0 cmにて作成したイメージを比較した.なお脂肪割合は組織標本より蛍光顕微鏡(BZ-X700)を用いて定量化した.
【結果と考察】
脂肪割合が0.0%の肝臓の結果を図1に,65.4%の結果を図2に示した.なお(a)は解析に用いたデータに対応するB-mode画像である.各結果において,ROIが2.0 cmでの推定値のイメージ(b)はモザイク状となった.これは,局所の減衰係数というよりは,血管などの構造物が影響していると思われた.一方で5.0 cmでは,分解能は犠牲となっているが,局所的な構造物の影響が除去でき,結果として各症例における減衰量の違いを比較しやすい画像となった.
【まとめ】
減衰計測時のモニタ画像として減衰量パラメトリックイメージを利用する際には,空間分解能確保のためにROIを小さくしてもあまり効果的であるとは言えず,比較的大きなROIを用いた方が有用であることが示唆された.
[1]大栗他,日超医89回学術集会,89-基-033(2016)