宮本 勇人, 田中 弘教, 井上 祐真, 川端 一美, 内橋 孝史, 菊地 珠希, 李 兆亮, 杉田 光司, 宮崎 純一, 阿部 孝

Hayato MIYAMOTO, Hironori TANAKA, Yuma INOUE, Kazumi KAWABATA, Takashi UCHIHASHI, Tamaki KIKUCHI, Chyoryo RI, Koji SUGITA, Junichi MIYAZAKI, Takashi ABE

宝塚市立病院消化器内科

Gastroenterology, Takarazuka City Hospital

キーワード :

【目的】
胆嚢腺筋腫症は最も良く遭遇する胆嚢隆起性病変の一つであるが，壁肥厚による胆嚢の変形で肥厚部が隆起状となると胆嚢癌との鑑別が問題となることが多い．肥厚部に点在する拡張したRokitansky Aschoff Sinus（RAS）によるコメット様エコーがあれば診断できるが，RASが小さく検出困難な場合や胆嚢癌の併存例等の診断困難例がある．近年，造影超音波や超音波内視鏡による評価が胆嚢良性隆起性病変と癌との高い鑑別能の報告例があり有用性が期待される．しかし，通常の造影モードはコントラスト分解能を上げるため，空間分解能をトレードオフしており，小病変描出能が低下している可能性がある．Pure CHI法は日本大学病院の小川らが既に報告しているシンプルに音圧を下げたPhase Modulationによる造影法をもとに調整した手法であり，空間分解能の低下を最小限にしている．今回この手法を用いて観察した胆嚢腺筋腫症による造影超音波の有用性について検討した．
【方法】
2016年4月25日から12月7日に当院で連続的にPure CHI法による造影超音波を施行した11例の胆嚢腺筋腫症（平均年齢64.9歳，男性5例女性6例）を対象とした．装置はGEヘルスケア社製LOGIQ E9 XDclear2.0を使用した．検討項目は病変のサイズや結節性病変，RAS，造影による描出能の改善などについて検討した．本研究は宝塚市立病院倫理審査委員会の承認を得ている．
【結果】
病変の大きさは平均11.9mm（24-8）であり，9例は底部限局型，2例は分節型であった．壁在結節は2例に認め，Bモードのみでの癌併存評価は困難であったが，造影によりいずれも一様に染影されていた．RASはBモードでは3例で観察困難であったが，造影後は全例で描出可能となった．内部観察の評価は，造影後全例で明瞭化し併存癌の評価に有用となる可能性が示唆された．
【結論】
Pure CHIによる胆嚢腺筋腫の造影は悪性疾患の鑑別に有用である可能性が示唆された．