Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
胆道2

(S528)

総胆管結石症早期診断治療に関するコンベックス型EUSの有用性の検討

Feasibility of Convex EUS-based diagnostic treatment in patients with choledocholithiasis

佐々木 綾香, 阿部 哲之, 二井 諒子, 三木 美香, 阿部 晶平, 木下 雅登, 田中 克英, 吉江 智郎, 大瀬 貴之, 佐貫 毅

Ayaka SASAKI, Tetsuyuki ABE, Ryoko FUTAI, Mika MIKI, Syohei ABE, Masato KINOSHITA, Katsuhide TANAKA, Tomoo YOSHIE, Takayuki OOSE, Tsuyoshi SANUKI

北播磨総合医療センター消化器内科

Gastroenterology, Kita-Harima Medical Center

キーワード :

【背景と目的】
総胆管結石は早期診断治療が原則であるが,「自然排石後」を疑う症例に遭遇することも多い.夜間時間外を含めて超音波内視鏡検査(EUS)を実施し,総胆管結石の有無を診断することで,不要なERCPを回避できるかどうかについて検討した.
【方法】
総胆管結石を疑う経過であるが,診察時には症状が消失し,他の画像検査で明らかな結石が確認できない患者に対し,EUSを緊急的(基本的に24時間以内)に実施した.EUSで総胆管結石が確認できた場合は,同一セッションでERCP切石術を実施し,結石が確認できない場合は,ERCPは実施せず,「自然排石後」または他疾患と判断し経過観察を行った.観察期間は2015年10月から2016年11月末とし,前向き研究として症例を蓄積した.EUSにて結石を認めた群をA群,EUSにて結石を認めなかった群をB群とし,患者背景,症状初発から受診までの期間,入院期間,EUS・ERCP所見,再発作の有無などについて検討した.
【成績】
A群22例,B群22例であり,平均年齢はA群61.3±13.8歳,B群57.0±16.4歳,男女の割合はA群9:13,B群9:13と有意差は認めなかった.症状初発から受診までの期間中央値はA群0日(0-31),B群0日(0-20)であった.平均入院期間はA群で10.6±12.3日,B群で5.0±2.7日であり,A群で長い傾向であった(p=0.059).EUS所見はA群では20例で結石を認め,2例ではdebrisを認めた.全例ERCPを施行したが,21例ではEUS所見通りの結石ないしdebrisを認め,debrisと診断した1例は臨床的に乳頭括約筋機能不全(SOD)を疑う所見であった.B群では,結石は指摘できないもののSODを疑う2例で引き続きERCPを行い,ESTを施行した.EUSの総胆管結石診断能は,感度100%,特異度95.5%,陽性的中率95.2%,陰性的中率100%であった.4週間以内に総胆管結石によると考える再発作を起こした症例は認めなかった.
【結論】
コンベックス型EUSの総胆管結石描出能は,感度,特異度ともに高く,緊急的にEUSを行うことで,不要なERCPを回避でき,入院期間の短縮にも寄与すると考えられた.