松井 由実, 平井 都始子, 丸上 永晃, 高濱 潤子, 田中 利洋, 野見 武男, 高野 将人, 吉川 公彦

Yumi MATSUI, Toshiko HIRAI, Nagaaki MARUGAMI, Junko TAKAHAMA, Toshihiro TANAKA, Takeo NOMI, Masato TAKANO, Kimihiko KICHIKAWA

¹奈良県立医科大学放射線科・IVR センター, ²奈良県立医科大学総合画像診断センター, ³奈良県立医科大学消化器外科, ⁴奈良県立医科大学病理診断科

¹Department. of Radiology, Nara Medical University, ²Department. of General Diagnostic Imaging Center, Nara Medical University, ³Department. of Surgery, Nara Medical University, ⁴Department. of Diagnostic Pathology, Nara Medical University

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症例は75歳女性．前医の腹部超音波で胆嚢癌が疑われ当院消化器外科に紹介となった．当院の腹部超音波では，胆石・デブリの貯留と分節型の胆嚢腺筋腫症を背景に，体部に28mm大の乳頭状隆起病変とその近傍に偏在性の壁肥厚を認めた．造影超音波では前者は早期に強く濃染したのに対し後者は緩徐でやや弱い造影効果を認め，胆嚢内の二つの病変に明らかな画像所見の違いを認めた．胆嚢癌として胆嚢摘出術・肝床切除術・リンパ節廓清術が施行された．病理学的診断はAdenosquamous cell carcinoma with foci of well to moderately differentiated papillary adenocarcinomaと最終診断され，腹部超音波で認めた乳頭状腫瘤は乳頭状腺癌に相当し，壁肥厚部は腺扁平上皮癌であった．胆嚢内に存在する異なる組織像を画像で描出しえた貴重な症例であり，画像と病理との対比を中心に文献的考察を加えて報告する．