Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓

(S525)

造影超音波内視鏡検査におけるFlash-replenishment(FR)法を用いた膵管癌の評価

Evaluation of pancreatic ductal carcinoma using the Flash-replenishment(FR) method in the contrast: enhanced harmonic endoscopic ultrasonography

丸山 雅史

Masafumi MARUYAMA

長野赤十字病院消化器内科

Department of Gastroenterology, Nagano Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
膵腫瘍の中でも膵管癌は悪性度が高く,確実な診断が必要とされる.膵腫瘍に対する造影超音波内視鏡検査を用いた血流動態評価による診断の報告は多いが,Flash-replenishment(FR)法を用いた膵管癌の画像評価の報告はない.FR法は超音波造影剤が末梢の血管まで行き渡ったときに高音圧送信に切り替え,その後再度低音圧送信に戻すことにより気泡の再環流を観察する手法である.この高音圧送信時の画像は腫瘍と非腫瘍組織のコントラストがより明瞭となる可能性がある.これを利用して膵管癌の画像を評価することを目的とした.
【対象】
当院で2016年4月から12月までの期間で造影超音波内視鏡検査を行いFR法により高音圧送信時の画像評価を行った通常型膵管癌4例.
【方法】
超音波内視鏡はOLYMPUS社製UE260ALまたはUCT260,観測装置はOLYMPUS社製EU-ME2 PREMIER PLUSを使用した.B-モード法での観察後,ソナゾイドを0.015μg/kg静脈内投与し3分間腫瘍内血流を観察した直後に高音圧送信に切り替え気泡を破壊しその高音圧送信時の画像をキャプチャーしB-モード法との描出能の比較について境界,辺縁,内部エコー,内部血流,周囲脈管との関連の各項目について検討した.
【結果】
症例は膵体部癌2例,膵頭部癌2例.4例すべてにおいて造影超音波内視鏡画像ではソナゾイド静注後60-120秒後に腫瘍内で不整な蜘蛛の巣状血管(Cobweb pattern)が認められた.B-モード法と高音圧送信時の画像では4例中4例で後者の境界がより明瞭,辺縁の描出能も4例中4例で後者がより明瞭,内部エコーのコントラストは4例中2例で後者がより明瞭,血流表示は後者で無血流領域が4例中3例で後者がより明瞭,周囲脈管との関連については4例中3例で後者が周囲血管との関連や膵管,胆管との関連がより明瞭であった.
【考察】
造影超音波検査において通常型膵管癌を示唆する所見として乏血性であることが特徴的とされているが,Cobweb patternに表現される腫瘍内の不整な血管も特徴的所見であるとともに,高音圧送信時の画像所見は通常型膵管癌の存在診断や周囲脈管との関係をより明瞭に描出することが可能であった.
【結論】
通常型膵管癌において造影超音波検査とFR法を用いた高音圧送信時の画像評価は質的診断に有用と考える.