Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
脂肪肝1

(S518)

超音波を用いたNASHの肝血流診断の試み

Evaluation of NASH using contrast-enhanced ultrasound with Sonazoid

和久井 紀貴, 荻野 悠, 松清 靖, 向津 隆規, 篠原 美絵, 池原 孝, 永井 英成, 渡邉 学, 五十嵐 良典, 住野 泰清

Noritaka WAKUI, Yu OGINO, Yasushi MATSUKIYO, Takanori MUKOZU, Mie SHINOHARA, Takashi IKEHARA, Hidenari NAGAI, Manabu WATANABE, Yoshinori IGARASHI, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

現在,日本人の約29.7%(約3700万人)がNAFLDとされている.その約10%がNASHとされており,NASHであるならば病変進展に伴い肝癌発生の可能性や,門亢症由来の食道静脈瘤(EV)発達等の問題がある.肝臓は他の臓器と異なり,門脈と肝動脈という2つの血管から血液が供給されている.慢性肝炎は病期進展に伴い,その2つの血流バランスは門脈優位から動脈優位へと変化する.その肝血流バランスの変化を画像診断で定量的に評価が可能であれば,慢性肝疾患の病変進展度合いを非侵襲的に把握ができ,臨床的に有用である.以前我々はSonazoid造影USを用いたArrival time Parametric Imaging(At-PI)でNASHの病期進展度診断を試みたが,その診断能は低い結果であった(JDDW2016神戸).
【目的】
診断能が低い理由として,肝実質のもともとの輝度が高い症例が多く,重畳後との輝度差がつきにくくなったことが原因と考えられたため,今回,脂肪化率30%以下(軽度脂肪肝症例)のNASHを対象とし,その診断能について検討を行った.
【方法】
約2年間で肝生検と同時期にAt-PIを施行し得た脂肪化率30%以下のNAFLD 24例.装置はGE社製LOGIQ E9 XD clearとC1-6プローブを使用した.At-PIの測定法:推奨量のSonazoidを静注し肝S5-6領域と右腎臓の染影動態を40秒間動画で記録.記録動画から,右腎染影開始を0基点とした肝全体のarrival timeの平均値を算出した.
US後,肝生検で得られたFibrosis stageとAt-PIで得られた結果を比較し,その差異について検討した.
【成績】
全24例中,stage 0-1:12例,stage2:5例,stage3:0例,stage4:7例であった.At-PIを用いた解析の結果,それぞれのarrival time(s)は,Stage0-1:4.52,stage2:3.99,stage4:2.84であり,stageの進行とともにarrival timeは短くなる,つまり動脈化が進行する傾向にあった.
【まとめ】
At-PIを用いた超音波解析は,その診断能は低いものの,中等度以上の脂肪肝を除いたNASHの病期進展度診断には利用できる可能性がある.