Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
脂肪肝1

(S517)

超音波と単純CTから定量化した肝脂肪蓄積と体脂肪量および大腰筋断面積の関連

Quantification of fat in hepatic steatosis by ultrasonography and computed tomography and its relationship with visceral obesity and sarcopenia

森藤 雅彦, 中村 浩之, 山本 祐二, 斎藤 保

Masahiko MORIFUJI, Hiroyuki NAKAMURA, Yuuji YAMAMOTO, Tamotsu SAITOU

1つくばセントラル病院総合診療科, 2広島大学第一外科

1General Medicine, Tsukuba Central Hospital, 2Department of First Surgery, Hiroshima Univercity

キーワード :

【目的】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は近年増加傾向にある.NAFLD脂肪蓄積定量として1H-MR Spectroscopyとの比較検討からわれわれは超音波濃淡ヒストグラム肝/腎比(以下L/K histgram ratio)が有用である事を報告した.今回,超音波検査と単純CTから予想した肝脂肪蓄積量と皮下脂肪・内臓脂肪量,さらに大腰筋断面積からみたsalcopeniaの関連性とその臨床応用の可能性を検討した.
【対象】
20歳以上の糖尿病・高脂血症治療をしていない成人30例.
【方法】
超音波検査および単純CT検査にてNAFLD肝脂肪蓄積量を定量した.超音波検査は一定の撮像条件下Region of Interest(ROI)を設定し画像処理ソフトImage-Jを使用,ROI中の濃淡ヒストグラムを肝/腎比(以下L/K histgram ratio)として算出した.単純CT検査では肝・脾のCT値を複数個所計測し,平均値を算出してCT肝/脾比を算出した.皮下脂肪・内臓脂肪量は臍部にCT位置を合わせ,normal scanにて同断面での内臓脂肪面積,皮下脂肪面積,腹囲を自動計測した.また第三腰椎下縁レベルで大腰筋の面積(TPA)測定し,生化学データとの比較検討もおこなった.
【結果】
超音波検査によるL/K histogram ratioとCT肝/脾比はY =1.428 - 0.1960* X; R^2 = 0.324,相関係数r = -0.569,P=0.021と有意の逆相関をみとめた.超音波L/K histogram ratioは内臓脂肪量,ALT,γGTP,FBS,HbA1cと有意の相関をみとめたが(P<0.05),皮下脂肪量とは相関がみられなかった.また,大腰筋の面積TPAはL/K histogram ratioとY =968.0 + 203.1* X; R^2 = 0.212,相関係数r = 0.461,P=0.07と明らかな関連はみられなかった.
【結論】
超音波検査+Image-Jを使用した肝/脾・濃淡ヒストグラムはCT肝/脾比と有意に逆相関しており一般臨床現場でも脂肪定量予測が可能と考える.また内臓脂肪量と肝脂肪蓄積量とは密接に関連しているが,大腰筋断面積から見たsalcopeniaとの関連性は不明である.インピーダンス法や骨格筋測定なども駆使したsalcopenia指標との関連性が今後の展望である.