Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
消化器その他

(S515)

AGES測定とエコー肝臓・膵臓・腎臓・脾臓のエコー輝度測定の関連性について

About the relation between AGES and the measurement of luminance

小宮山 恭弘, 脇 英彦, 上田 真喜子, 羽生 大記

Yauhiro KOMIYAMA, Hidehiko WAKI, Makiko UEDA, Daiki HABU

1森ノ宮医療大学保健医療学部臨床検査学科, 2大阪市立大学大学院生活科学研究科栄養医科学

1Department of Medical Tecnology, Morinomiya University of Medical Sciences, 2Department of Life and Sciences, Osaka City University

キーワード :

【はじめに】
終末糖化産物AGES(advanced glycation end products)は還元糖が,蛋白質のアミノ基と非酵素的に反応して生成される物質であり,心血管イベント発症や生活習慣病との関連が注目されている.近年AGESが持つ特有の蛍光性,褐色化,分子内および分子間での架橋形成といった物理化学的性状を利用して,指先にセンサーをあてることにより,簡便にAGES測定が可能になってきた.今回我々は病院付属の人間ドック受診者365名を対象にAGESと肝臓・膵臓・腎臓・脾臓のエコー輝度を測定し,AGES蓄積量と内臓各臓器の輝度との関連性について検討を行ったので報告する.
【方法】
2016年3月から12月末の期間に大阪市内A病院付属の人間ドックを受診し,本研究に賛同を得た365名について,センサーによるAGESを測定.AGES値とBMI,腹部周囲径,血圧,生化学検査,エコーによる臓器の輝度を測定し各々を比較した.エコー機器は東芝aplio500,GE Logic E9,日立アロカ アセンダスの3機種を用いて測定した.輝度計測は,DICOM保存した腹部エコー像を専用ファイリングシステムのビューアー上のモニター輝度測定ツールを用いて,肝臓,膵臓,腎臓,脾臓の各臓器輝度について測定深度を一定にして測定.肝臓腎臓のコントラスト差(肝腎差),膵臓脾臓のコントラスト差(膵脾差)を計算により求めた.
【結果】
AGESとBMI,腹部周囲径,血圧とは弱い相関を認めた.また肝機能とAGESとも弱い相関を認めたが,耐糖能,脂質検査では相関を認めなかった.次にエコー輝度測定では,AGESと肝臓では相関係数0.058,AGES膵臓では相関係数0.037であったが,AGESと肝腎差では相関係数0.068(P>0.05),AGESと膵脾差では相関係数0.069(P>0.05)とともに関係性を認めた.
【考察】
今回の検討では,リアルタイムにエコー機器上での輝度測定が困難であったため,保存した画像データを用いて各臓器の輝度測定を実施した.メーカー毎に輝度条件が異なることや,検査条件による影響がさけられない状況での輝度測定であった.そのため,臓器単体での輝度のばらつきがみられ,AGESとの十分な相関が得られなかった.
しかしながら,臓器のコントラスト差である肝腎差や膵脾差は,検査毎の測定条件の差や各個人の内臓・皮下脂肪量の差も相殺されるため,今回のように3機種を用いた検討においても,AGESとの相関性が得られた.AGESはBMI,腹部周囲径,血圧とも相関が見られ,肝機能とも弱いながら相関が見られ,関係性が見られた.エコーでの輝度差とAGESの同時測定により,生活習慣病のバイオマーカーとしても良い指標になりうることが示唆された.
【結語】
エコーでの肝腎差や膵脾差の輝度測定とAGESの同時測定は,肥満を伴う肝障害群の良いバイオマーカーとして活用できうる.