Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
消化管1

(S508)

2cm以下の胃粘膜下腫瘍に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検の有用性

Utility of EUS-FNA for gastric submucosal tumor of 2 cm or less

香川 幸一, 窪田 賢輔, 細野 邦広

Koichi KAGAWA, Kensuke KUBOTA, Kunihiro HOSONO

横浜市立大学附属病院肝胆膵消化器病学

Department of Gastroenterology and Hepatology, Yokohama City University

キーワード :

【目的】
胃粘膜下腫瘍(以下SMT)に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検(以下EUS-FNA)は腫瘍の病理学的診断に有用であるが,一方で2cm以下の小さな胃SMTに対してのその有用性はいまだcontraversialである(GIST診療ガイドライン).今回,2cm以下の小さな胃SMTに対するEUS-FNAの有用性を検討した.
【対象と方法】
当科で2005年12月以降に,胃SMTの病理学的診断目的に施行したEUS-FNA52例を対象に,EUSによる腫瘍径2cm以下をA群,それより大きい症例をB群とし,組織採取率を比較した.また,EUS-FNA後に手術を施行し最終病理診断が確定した36例のうちGISTと診断した28例を対象に,EUS-FNAのGISTに対する正診率を腫瘍径別に比較した.EUS-FNAを施行した症例の平均腫瘍径は30.5mmで,2cm以下のA群が14例,B群が38例であった.コンベックス型EUSスコープと22G針による穿刺を標準とし,迅速病理診断(ROSE)は行わず穿刺回数は術者判断で3回もしくは4回としている.
【結果】
EUS-FNAの組織採取率はA群6/14(42.8%),B群31/38(81.6%)(p=0.006)でA群において有意に組織採取率は低かった.EUS-FNAによる診断はA群GIST5例/平滑筋腫1例/診断不能(組織採取不良含む)8例,B群GIST27例/平滑筋腫4例/ /診断不能(組織採取不良含む)7例であった.手術を施行しGISTと最終診断した症例がA群6例B群22例で,GISTに対するEUS-FNAの正診率はA群5/6(83.3%)B群21/22(95.5%)(p=0.307)とB群のほうが正診率は高いが差は認めなかった.
【結論】
2cm以下の胃SMTに対するEUS-FNAは,2cmより大きい胃SMTと比して組織採取率は低いものの,胃GISTにおける正診率に大きな差は認められず,2cm以下の小さな胃SMTに対しても,EUS-FNAは早期の病理学的診断が可能であり有用と考えらた.