Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
消化管1

(S508)

消化管エコー研修の効果に関する検討

Usefulness of the systematic training for intestinal ultrasonography

泉川 孝一, 石田 正也, 香川 朋, 倉岡 紗樹子, 山本 久美子, 高橋 索真, 田中 盛富, 石川 茂直, 和唐 正樹, 稲葉 知己

Koichi IZUMIKAWA, Masaya ISHIDA, Tomo KAGAWA, Sakiko KURAOKA, Kumiko YAMAMOTO, Sakuma TAKAHASHI, Shigetomi TANAKA, Shigenao ISHIKAWA, Masaki WATO, Tomoki INABA

香川県立中央病院消化器内科

Department of Gastroenterology, Kagawa Prefectural Central Hospital

キーワード :

【目的】
消化管エコー検査の初学者に対して,消化管を描出する習熟度を評価することにより,消化管エコー検査における問題点を明らかにすること.
【方法】
当院の後期研修医3名が行った連続する腹部超音波検査症例を対象とし,消化管の手術既往がある症例は除外した.通常の腹部超音波検査で行われる実質臓器の描出を行った後,「腹部食道~胃接合部」の同定から開始し,「直腸縦走査」まで指定した消化管12部位を描出し,1名の指導医が撮影画像を評価した.2015年7月から12月を前期,2016年3月から2016年9月を後期として,部位別の描出率に関して検討し,習熟度を評価した.
【結果】
解析対象は,202例(男性97例,女性105例,平均年齢63.0±15.5歳,前期106例,後期96例),後期研修医3名(A,B,C)の検査数はそれぞれ77例(前期42例,後期35例),67例(前期25例,後期42例),58例(前期39例,後期19例)であった.前期と後期において年齢や性別に差は認めなかった.前期に描出率が高い部位としては,「胃前庭部縦走査・横走査」(88.7%・91.5%),「上行結腸縦走査・横走査」(89.6%・89.6%),「下行結腸縦走査・横走査」(83.0%・84.0%)であり,描出率が50%以下の描出困難部位としては,「腹部食道~胃接合部」,「胃幽門~十二指腸球部」,「盲腸」,「回盲弁」,「直腸縦走査」であった.描出困難部位の前期/後期の比較では,「腹部食道~胃接合部」(45.3%/63.5%,p=0.0111),「胃幽門~十二指腸球部」(48.1%/71.9%,p=0.0009),「盲腸」(31.1%/51.0%,p=0.0043),「回盲弁」(13.2%/38.5%,p<0.0001)と有意に上昇しており,「直腸縦走査」(44.3%/52.1%,p=0.3228)と有意差はないも上昇がみられた.各術者での10症例毎の描出率の検討では「腹部食道~胃接合部」,「胃幽門~十二指腸球部」の描出率は31~40症例でピークとなりそれ以上,症例数が増えても上昇はなかったが,「盲腸」,「回盲弁」の描出率のピークは51症例以上と症例経験数が増えるにつれ,描出率が高値となった.平均検査時間に関しても同様に検討したが,後期研修医3名とも30症例までは検査時間の短縮はあるも,それ以上症例数が増えても検査時間の短縮はみられなかった.
【結論】
消化管エコー検査においては,描出困難部位は存在するが,系統的な指導により描出率を高めることが可能となる.