細谷 侑未, 永井 知雄, 沼倉 陽子, 畑岡 麻子, 安田 真由美, 増岡 和宏, 赤川 由里, 滝口 俊一, 田畑 博嗣

Yumi HOSOTANI, Tomoo NAGAI, Yoko NUMAKURA, Asako HATAOKA, Mayumi YASUDA, Kazuhiro MASUOKA, Yuri AKAGAWA, Shunichi TAKIGUCHI, Hirotsugu TABATA

¹国家公務員共済組合連合会三宿病院臨床検査科, ²国家公務員共済組合連合会三宿病院循環器内科, ³国家公務員共済組合連合会三宿病院血液内科

¹Clinical Exam Department, Federation of National Public Service Personnel Mutual Aid Associations Mishuku Hospital, ²Cardiology, Federation of National Public Service Personnel Mutual Aid Associations Mishuku Hospital, ³Hematology, Federation of National Public Service Personnel Mutual Aid Associations Mishuku Hospital

キーワード :

【症例】
24歳，男性　
【主訴】
左側視野狭窄　
【既往歴】
なし　
【現病歴】
2015年11月，検診で白血球17000/μlを指摘．2016年6月7日，左側視野狭窄を認め眼科を受診したところ，左同名半盲と診断され当院に紹介となった．頭部MRIで右後頭葉の高信号域を認めた．
【入院時現症】
体温37.1℃，血圧127/74 mmHg，心拍数86/分，胸骨左縁第4肋間にLevineⅡ度の収縮期雑音を認めた．心電図は洞調律で不完全右脚ブロック．
【血液検査】
白血球79310/μl，好酸球分画35.5％（28155/μl）と著明高値．
【骨髄検査】
高度過形成で好酸球系の著明な増加を認め，慢性好酸球性白血病に矛盾しない所見であった．遺伝子検査でFIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を認めた．
【心臓超音波検査】
基部の左室下壁に厚さ15mmの扁平な疣腫を認めた．僧帽弁後尖は肥厚し，中等度の僧帽弁逆流を認めた．左室心尖部及び右室にも同様な疣腫を認めた．左室機能は保たれていた．
【経過】
炎症マーカーの上昇はなく，血液培養は陰性であった．好酸球の増加によるLoeffler心内膜炎と診断し，抗凝固療法とイマチニブとプレドニゾロンが投与された．心臓超音波検査では，1ヶ月後に疣腫は消失し，4ヶ月後でも左室機能は良好で拡張機能も正常であった．
【結語】
Loeffer心内膜炎は，初期には塞栓症状，晩期には心内膜の線維化により重度の拡張障害から難治性心不全に至る予後不良な疾患である．心臓超音波検査はLoeffer心内膜炎の早期診断及び経時的左室機能の評価に有用であった．