Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 循環器
症例 先天性など

(S497)

unroofed coronary sinus ASDの診断に3次元経食道心エコー検査が有用であった一例

A case of unroofed coronary sinus atrial septal defect diagnosed by three-dimensional transesophageal echocardiography

橋本 剛, 鈴木 真事, 葉山 裕真, 牧野 健治, 山下 裕正, 飯島 雷輔, 原 英彦, 尾崎 重之, 諸井 雅男, 中村 正人

Go HASHIMOTO, Makoto SUZUKI, Hiromasa HAYAMA, Kenji MAKINO, Hiromasa YAMASHITA, Raisuke IIJIMA, Hidehiko HARA, Shigeyuki OZAKI, Masao MOROI, Masato NAKAMURA

1東邦大学医療センター大橋病院循環器内科, 2東邦大学医療センター大橋病院心臓血管外科

1division of cardiovascular medicine, Toho university ohashi medical center, 2division of cardiovascular surgery, Toho university ohashi medical center

キーワード :

症例は60歳代男性.脳梗塞加療中に経胸壁心エコー図検査で心房中隔欠損症(atrial septal defect: ASD)を認め,治療目的で当院紹介となった.経胸壁心エコー図検査では心房中隔に連続性の左右短絡血流を認め前医と同様に心房中隔欠損症と診断した.さらに冠静脈洞の拡大を認めたがCTでは左上大静脈遺残は認めなかった.経食道心エコー検査では,左房と冠静脈洞の交通を認めUnroofed coronary sinus(URCS)ASDと考えられた.冠静脈洞から右房へはやや加速した血流が連続性に流入する所見を認めた.さらに3次元画像を用いて観察したところ,左房側からの観察では左房と冠静脈洞の間には16×17mm大の円形状の孔を認めた.また,右房側からの観察では11×7mmのスリット状の孔を認めた.URCSは経皮的心房中隔欠損閉鎖術の適応ではなく,外科的心房中隔閉鎖術の適応であり手術施行した.術中所見は超音波所見と同様に左房から冠静脈洞側を通じて右房内に交通しており,左房側に大きな交通孔を認めた.ウシ心膜パッチで交通孔を閉じ手術終了とした.URCSは冠静脈洞と左房との隔壁が欠損し,心房中隔欠損症(ASD)と同様の血行動態をとる疾患群の総称であり,ASDの中でも頻度は1%以下と稀な疾患とされる.URCSは術前診断が困難であり術中診断されることが多い.術前の経胸壁心エコー図検査では明らかではなかったが,経食道心エコー検査によりURCSと診断することができた.さらに3次元画像をもとに両心房側から観察することで,短絡孔の形状についてより詳細な診断をすることができた.また,この所見をもとに手術計画をたてることができた.URCSの診断に3次元経食道心エコー検査は有用であったため報告する.