金澤 晃子, 高野 真澄, 渡部 朋幸, 安藤 卓也, 君島 勇輔, 石田 悟朗, 神山 美之, 小松 宣夫, 武田 寛人

Kohko KANAZAWA, Masumi IWAI-TAKANO, Tomoyuki WATANABE, Takuya ANDO, Yusuke KIMISHIMA, Goro ISHIDA, Yoshiyuki KAMIYAMA, Nobuo KOMATSU, Hiroto TAKEDA

¹太田綜合病院附属太田西ノ内病院循環器内科, ²福島県立医科大学集中治療部, ³医療生協わたり病院循環器内科

¹Division of Cardiology, Ohta Nishinouchi General Hospital, ²Intensive Care Unit, Fukushima Medical University, ³Division of Cardiology, Health Co-op Watari Hospital

キーワード :

【背景】
僧帽弁輪面積（MAA）は心周期で変化し，拡張後期は僧帽弁輪部の心房機能，収縮早期は左室機能によると考えられている．しかし，拡張後期MAAの変化が心疾患患者の心房機能障害の指標となるかどうかは明らかでない．
【目的】
心疾患患者において拡張後期MAA変化が心房機能障害の指標となり得るかについて検討する．
【対象】
経食道心エコー（TEE）施行時に洞調律かつLVEF＞50％であった発作性心房細動患者18例（PAF群），重症僧帽弁逆流症患者13例（MR群），および器質的心疾患を認めない7例（Control群）．
【方法】
3D-TEEにて僧帽弁3D画像を取得．心周期によるMAA変化を解析し（eSie valve^TM），MAAの最大変化（ΔMAA），拡張後期の変化（ΔMAA_LA），収縮早期の変化（ΔMAA_LV），拡張後期MAA変化（MAA_atrium＝ΔMAA_LA/ΔMAA）を算出し，3群間で検討した．
【結果】
ΔMAAは3群間において差を認めなかったが（Control群：222.1±56.8，PAF群：155.5±66.2，MR群：170.7±74.6 mm²，p＝0.05），ΔMAA_LAは3群間で有意差を認め（Control群：204.4±54.1，PAF群：118.9±66.0，MR群：118.5±76.8 mm²，p＜0.05），Control群に比べPAF群およびMR群で有意に低下していた（各p＜0.05）．ΔMAA_LVは3群間で有意差を認め（Control群：17.7±32.2，PAF群：32.7±29.3，MR群：55.2±30.1 mm²，p＜0.05），Control群に比べMR群で有意に増加していた（p＜0.05）．MAA_atriumは3群間で有意差を認め（Control群：0.93±0.11，PAF群：0.74±0.16，MR群：0.66±0.18，p＜0.01）,Control群に比べPAF群およびMR群で有意に低下していた（PAF群vs Control群：p＜0.05，MR群vs Control群：p＜0.01）．
【結語】
拡張後期MAA変化は重症MR，PAF症例において心房機能障害を示す指標となり得る．