Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能1

(S484)

パーキンソン病における左室及び右室機能障害の検出

Right and Left Ventricular Dysfunction in Patients with Parkinson Disease

藤原 理佐子, 高野 真澄, 伊藤 宏, 大手 信之

Risako FUJIWARA, Masumi IWAI-TAKANO, Hiroshi ITO, Nobuyuki OHTE

1地方独立行政法人秋田県立病院機構秋田県立脳血管研究センター循環器内科, 2福島県立医科大学集中治療部, 3秋田大学大学院医学系研究科医学専攻、機能展開医学系循環器内科学・呼吸器内科学, 4名古屋市立大学心臓・腎高血圧内科

1Cardiology, Independent Administrative Institution Akita Prefectural Hospital Organization Reseach Institute for Brain and Blood Vessels-Akita, 2Intensive Care Unit, Fukushima Medical University, 3Department of Cardiovascular and Respiratory Medicine, Akita University Graduate School of Medicine, 4Department of Cardio-Renal Medicine and Hypertension, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences

キーワード :

【背景】
パーキンソン病患者における心臓交感神経機能の低下が報告されているが,心機能低下の有無は明らかでない.
【目的】
パーキンソン病患者における左室及び右室心機能障害の有無について検討する.
【対象】
2011年2月から2015年9月に経胸壁心エコー図検査を施行したパーキンソン病患者28例(PD群,74±7歳),及び年齢を合わせたコントロール17例(C群,71±7歳).
【方法】
全症例において,通常の心エコー図法による心機能指標,左室及び右室弁輪部組織ドプラ波形(s’,e’),TAPSE,RVFAC,および心尖部3断面における2D speckle tracking法による左室global longitudinal strain(GLS,EchoPacTM,Vivid 9)を評価した.2群間において,左室および右室機能指標に差があるか否か検討した.左室収縮障害(LVEF<50%),明らかな心疾患の既往,および慢性・発作性心房細動例は除外した.また,PD群ではI123-MIBG心筋シンチグラフィーによるH/Mおよびwashout rateによる心臓交感神経機能の評価を行った.
【結果】
2群間において,LVEF(PD群vs C群:67.9±6.8 vs 68.0±7.2%),左室E/e’(10.6±5.8 vs 8.4±3.1),TAPSE(22.2±2.3 vs 21.0±4.2 mm),RVFAC(38.7±7.0 vs 40.2±8.1%),右室E/A(1.0±0.2 vs 1.1±0.4)に差を認めなかった.一方PD群ではC群に比し,左房容量係数は有意に増大(33.9±9.4 vs 28.7±8.8 ml/m2,P<0.05)し,左室e’(6.0±1.5 vs 7.6±2.2 cm/s,P<0.01),右室s’(9.3±1.8 vs 10.4±1.8 cm/s,P<0.05),右室e’(6.3±1.9 vs 7.6±1.7 cm/s,P<0.05)は有意に低下し,右室E/e’(7.7±3.8 vs 5.7±2.2,P<0.05)は優位に上昇してした.また,GLSはPD群でC群に比し有意に低下していた(-21.0±2.7 vs -22.4±2.5%,P<0.05).またPD群でMIBG心筋シンチグラフィーは,早期H/M比:2.22±0.75,後期H/M比:1.94±1.0と低下,washout rate:45.8±14.1%と亢進していたが,心エコー指標との関連を認めなかった.
【結論】
Parkinson病患者において,左室及び右室弛緩および収縮障害が存在する.