Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能1

(S482)

急性心不全患者の超急性期における心エコーデータは60日予後を推定できるか?

Can Echocardiographic Parameters Immediately on Admission Predict 60-day Clinical Outcomes in Urgent Phase Acute Heart Failure?

原田 顕治, 寺田 菜穂, 藤澤 一俊, 岡田 歩, 川田 篤志, 山本 浩史, 藤永 裕之

Kenji HARADA, Naho TERADA, Kazutoshi FUJISAWA, Ayumi OKADA, Atsushi KAWATA, Hirofumi YAMAMOTO, Hiroyuki FUJINAGA

徳島県立中央病院循環器内科

Department of Cardiovascular Medicine, Tokushima Prefectural Central Hospital

キーワード :

【背景】
日本の救急医療現場では,急性心不全患者の血行動態や病因を把握するために心エコー検査がなされている.しかし,来院直後に計測された心エコーのパラメータと中期的な予後との関連は意外と知られていない.
【方法】
以前我々は,救急外来(ER)を受診した急性心不全患者(n=106)に対する経静脈的ニコランジル投与の効果や安全性につきランダム化比較試験を実施した(0.2 mg/kg bolus followed by 0.2 mg/kg/h for 24hr).ER受診後通常の初期医療を開始しながら,来院1時間の時点で経胸壁心エコー検査および呼吸困難の重症度評価(5-point Likert scale)を行った(試験薬投与前).試験開始24時間後に再度心エコーを含む各種検査を施行した.さらに,それらの臨床データを基に,60日後のMACE(60-day MACE: all-cause death and readmission for heart failure)を予測した.
【結果】
ER受診後1時間以内の各種臨床データを基にした多変量解析では,左房径(HR:1.25; 95%CI:1.11.5)が60-day MACEを予測する因子であった.しかし,BNP,LVEF,E/e´およびLikert scaleによる呼吸困難指標との関連は認められなかった.さらに,24時間時点のE/e´の変化も同様に関連はなかった.
【結語】
急性心不全の超急性期におけるBNPやE/e´は,重症度評価,治療方針決定および治療効果判定に有用であることは間違いないが,60日予後を推定するものではなかった.