Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能1

(S482)

後負荷・動脈硬化が心機能に与える影響における性差の検討

Sex Difference in Relationships between Cardiac Function and Afterload

反町 秀美, 根岸 一明, 吉田 くに子, 小保方 優, 黒沢 幸嗣, 倉林 正彦

Hidemi SORIMACHI, Kazuaki NEGISHI, Kuniko YOSHIDA, Masaru OBOKATA, Koji KUROSAWA, Masahiko KURABAYASHI

1群馬大学医学部附属病院循環器内科, 2タスマニア大学メンジーズ研究所

1Department of Cardiovascular Medicine, Gunma University Graduate School of Medicine, 2Menzies Institute for Medical Research, University of Tasmania

キーワード :

【背景】
近年循環器疾患における男女差(性差)の影響が注目されている.循環器疾患では男性がリスクとなる疾患が多いが,左室駆出率が保たれた心不全(HFPEF)は女性がリスク因子とされる.女性は男性よりも大動脈長が短く反射波の影響を受けやすいため,女性では後負荷や動脈硬化が左室拡張能に与える影響が大きいと考えられていた.しかし体格差で補正した後も後負荷と性差があるとされる.しかし,より正確な指標である大動脈長で補正したものはほとんどない.
【目的】
後負荷・動脈硬化の指標と心機能との関係に男女差があるか,性差は男女の体格差を差し引いたあとも存在するかどうかを検討した.
【方法】
同時期に経胸壁心エコー図検査,および胸腹部CT検査を施行した543例(年齢:71±13歳,女性:216例,左室駆出率≧45%)を対象とした.心房細動,末梢動脈疾患,中等度以上の弁膜症患者は除外した.
体格の指標としてCTで計測した大動脈長を用い,左室拡張能の指標には拡張早期僧帽弁輪移動速度(Em),E/Emを用いた.また左房の指標として左房容積係数(LAVI),LA emptying fraction(LAEF),左室収縮能の指標として左室駆出率(LVEF)を用いた.後負荷・動脈硬化の指標は,収縮期血圧(sBP),脈圧(PP),大動脈エラスタンス(Ea),全身血管抵抗係数(SVRI),大動脈コンプライアンス,大動脈石灰化容積を用いた.後負荷・動脈硬化の指標と心機能の相関と,性差の有無を評価した.
【結果】
収縮期血圧,SVRIは男女で差はないが,男性よりも女性の方が大動脈コンプライアンスは低くEaは高値であった.Emと後負荷指標の関係には有意な男女差が存在し(sBP: 0.001,PP:0.021,大動脈コンプライアンス:0.001,石灰化容積:0.011),E/Emとの関係においても性差を認めた(大動脈コンプライアンス:0.014,石灰化容積:0.006).また,LAVIと後負荷の関係には性差を認めなかったのに対し,LAEFと後負荷指標(sBP:0.005,PP:0.002)との関係には有意な性差が見られた.LVEFと後負荷の関係においては有意な性差を認めなかった.
【結語】
同程度の後負荷において,女性では男性よりも左室拡張能は低下していた.女性の方が男性よりも後負荷が左室弛拡張能に与える影響が大きいことが示唆された.HFPEF発症リスクの性差の原因の一つと考えられる.