Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 循環器
血管

(S479)

頸動脈エコーによる関節リウマチ患者の動脈硬化関連因子の検討-KURAMAコホート-

Evaluation of Risk Factors for Arteriosclerosis using Carotid Ultrasonography in Japanese Patients with Rheumatoid Arthritis in KURAMA Cohort

山本 博子, 河原 理恵, 中島 俊樹, 中坊 周一郎, 橋本 求, 布留 守敏, 伊藤 宣, 田中 真生, 藤井 康友

Hiroko YAMAMOTO, Rie KAWAHARA, Toshiki NAKAJIMA, Shuichirou NAKABOU, Motomu HASHIMOTO, Moritoshi FURU, Hiromu ITO, Masao TANAKA, Yasutomo FUJII

1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻, 2京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学

1Department of Human Health Science, Graduate School of Medicine, Kyoto University, 2Department of Rheumatology and Clinical Immunology, Graduate School of Medicine,Kyoto University

キーワード :

【目的】
関節リウマチ(RA)患者は脳心血管障害のリスクが高く,疾患活動性と相関するとの研究結果が国内外から報告されている.一方,脳心血管障害は動脈硬化に起因するケースが多く,動脈硬化の評価方法として頸動脈エコーの有用性が認められている.RAの脳心血管障害リスクに関する既報の中には,リスク評価方法として頸動脈エコー検査を採用しているものもある.ただし,日本人RA患者に特化して頸動脈を評価した大規模な研究報告は少ない.
そこで,本研究では,頸動脈エコーを用いて,日本人RA患者における頸動脈の動脈硬化を評価し,脳心血管障害との関連因子を明らかにすることを目的とした.
【対象】
京都大学医学部附属病院リウマチセンター・KURAMAコホートに登録された150人のRA患者を対象とした.KURAMAコホート(Kyoto University Rheumatoid Arthritis Management Allianceコホート)とは,当センターを受診されている全RA患者の治療歴,総合的疾患活動性指標,画像検査,治療反応性・副作用などを記録してデータ化したコホートシステムである.
150人中,男性20人・女性130人で,全体の平均年齢63.6歳であった.
【方法】
超音波装置(TOSHIBA社製,Aplio500・Aplio300)を用いた頸動脈エコー検査の他,身体測定,臨床化学検査(血液・尿)などを実施した.頸動脈エコー検査では,内膜中膜複合体(IMT)およびプラークを測定した.IMT>1.0mmまたはプラーク≧1.1mmを動脈硬化有りとし,IMTやプラークと関連する因子を多変量解析で検討した.
【結果】
RA患者で総頸動脈に動脈硬化を有するのは84人(56%)であった.頸動脈エコー検査との関連では,平均IMTと年齢(p<.0001)に相関がみられ,最大IMTと性別(p=0.0018),年齢(p=0.0090),高血圧(0.0085)に相関がみられた.また,プラークとは,性別(p=0.0019),年齢(p=0.0059)の他,罹病期間(p=0.0179),抗CCP抗体(p<.0001)とも相関がみられた.
【考察・結論】
動脈硬化傾向のRA患者では,性別,年齢,高血圧など一般的にみられる脳心血管障害のリスク因子加えて,RAに特徴的な関節リウマチ罹病期間や抗CCP抗体とも強い関連性があると考えられた.
本研究の結果より,日本人関節リウマチ患者の動脈硬化には,一般的な動脈硬化の関連因子に加えて,関節リウマチの疾患活動性が関与している可能性が示唆された.