Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 循環器
症例 弁膜症

(S475)

中年期まで無症状で経過した先天性僧帽弁狭窄症の一例

A case of congenital mitral stenosis with no symptoms until middle age

中石 浩己, 石川 かおり, 野口 早苗, 稲毛 敏宏, 村上 和司, 辻 哲平, 野間 貴久, 南野 哲男, 村尾 孝児

Hiromi NAKAISHI, Kaori ISHIKAWA, Sanae NOGUCHI, Toshihiro INAGE, Kazushi MURAKAMI, Teppei TSUJI, Takahisa NOMA, Tetsuo MINAMINO, Koji MURAO

1香川大学医学部附属病院検査部, 2香川大学医学部循環器・腎臓・脳卒中内科

1Clinical Laboratory, Kagawa University Hospital, 2Cardiovascular, Renal and Cerebrovascular Medicine, Faculty of Medicine of Kagawa University

キーワード :

【はじめに】
先天性僧帽弁狭窄症は比較的まれな疾患であり,先天性心疾患中0.2%から0.6%と報告されている.また,単独例は少なく,合併心奇形を有する場合が多く予後も不良で,多くは乳幼児期に外科的治療を要する.
【症例】
57歳男性,4年前に心雑音を指摘され,近医で僧帽弁逆流症を指摘されたが経過観察となっていた.その後,一過性心房細動が出現し,症侯性となったため当院に紹介となった.術前の心エコー検査にて,僧帽弁は肥厚石灰化したdome formationを認め,左室短軸断面において左右乳頭筋の分離が不十分で癒合,腱索構造も短縮し未発達であった.全体的にパラシュート様の構造に見えた.PDA,AS,VSD,ASD,左室低形成などの合併奇形を疑う所見は心エコーやCTでも無く,先天性僧帽弁狭窄単独症例と考えた.Forrester分類IV群であり外科的治療はMVPも考慮されていたが,支持組織の異常を考慮しMVRを選択,問題なく終了している.
【考察】
手術を必要とする慢性の高度MRを有する患者の多くは,弁置換術より弁形成術が推奨され,患者は弁形成術の経験が豊富な施設へ紹介されるべきであるとガイドラインにも明記されている.しかし,本疾患は弁形成が困難で,構造的に弁置換術が必要であった.その点でもエコーによる診断が重要であると考えた.