Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 循環器
症例 弁膜症

(S474)

透析患者の上行大動脈に可動性腫瘤として発見されたcalcified amorphous tumorの一例

A case report of calcified amorphous tumor detected as mobile mass in the ascending aorta of a hemodialysis patient

中島 啓喜

Hiroyoshi NAKAJIMA

三井記念病院総合内科

General Medicine, Mitsui Memorial Hospital

キーワード :

【はじめに】
Calcified amorphous tumor(CAT)は僧帽弁など心内に発生するまれな腫瘤性疾患であるが,心外発生の報告はほとんどない.また,透析患者では比較的多く認められるとされる.
【症例報告】
症例は62歳男性.13年間血液透析を受けている.透析医療機関での定期的な心エコー図検査にて大動脈弁狭窄症を疑われ,当院を紹介受診した.当院で再検した心エコー図検査では中等度の大動脈弁狭窄症に加え,上行大動脈に長さ30mmの可動性腫瘤を認めた.腫瘤の質的診断は確定しなかったが,強い可動性を有し塞栓症の懸念があるため,準緊急腫瘤切除術の方針となった.術中所見では,上行大動脈壁から発生する脆弱な腫瘤を認めた.組織学的には,石灰化物の小片を多数認めフィブリンに包まれていた.石灰化周囲には異物巨細胞の浸潤を認め,CATに矛盾しない所見だった.周術期は特に問題なく経過し,軽快退院となった.
【考察】
心外のCAT報告例は現時点でほとんど無く,極めて貴重な症例と考える.成因はまだ明らかではないが,透析例では比較的多いとされる.本症例の様に,透析例では心内のみならず心外にもCATを発生しやすいのかもしれない.