Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 循環器
症例 心筋症1

(S470)

重症左心不全を合併したTAFRO症候群の一例

A case of TAFRO syndrome with severely depressed left ventricular function

羽渓 優, 田中 秀和, 下浦 広之, 大岡 順一, 佐野 浩之, 望月 泰秀, 郡山 恵子, 松本 賢亮, 平田 健一

Yutaka HATANI, Hidekazu TANAKA, Hiroyuki SHIMOURA, Junnichi OOKA, Hiroyuki SANO, Yasuhide MOCHIZUKI, Keiko KORIYAMA, Kensuke MATSUMOTO, Ken-Ichi HIRATA

神戸大学医学部附属病院循環器内科

Department of Internal Medicine,Kobe University Graduate School of Medicine, Caridiovascular Medicine

キーワード :

【背景】
TAFRO症候群は,Castleman病の類縁疾患明とし提案され,原因なく急性あるいは亜急性に,全身浮腫(胸腹水),発熱,骨繊維症,肝脾腫(Thrombocytopenia,Anasasrca,Fevere,Reticuin fibrosis,Organomegaly)の5徴を特徴とする疾患である.2010年には本邦からCastleman病とは異なる独立した疾患単位であることが明らかになった.今回我々はTAFRO症候群に重症心不全を呈し,集学的治療が奏功した症例を経験したので報告する.
【症例】
17歳男性.インフルエンザ罹患後から持続する発熱,頸部および腋窩リンパ節腫大,胸背部痛ならびに腰痛のために近医を救急受診された.精査では炎症反応の上昇,造影CTでは少量の腹水,肝脾腫を認めた.感染のフォーカスは特定できなかったが,細菌感染が疑われ,抗生剤加療開始となった.しかしながら,その後も発熱,腹痛,腰痛が持続し,血液検査では貧血,血小板減少,腎機能障害の進行を認めたため,精査目的で当院に紹介入院となった.2月下旬から約1ヶ月間精査入院をし,骨髄生検では明らかな悪性リンパ腫や白血病を疑う所見はなく,ウイルス感染に関しても網羅的にウイルスPCRを施行したが陽性になるものはなかった.また,血清インターロイキン6(IL-6):70.0pg/mL,血清血管内皮細胞増殖因子(VEGF):729pg/mL,胸水IL-6:370pg/mL,胸水VEGF:88.0pg/mL,腹水IL-6:458pg/mL,腹水VEGF:104pg/mLと高値であり,TAFRO症候群の疑いが強くなったため腋窩リンパ節生検を施行し,状態が安定していたため,一旦退院となった.その後,4月初旬に咳嗽と呼吸苦を訴え,当院を救急受診し,胸部X線で胸水の増加を認めた.心エコー図検査を施行したところ,全周性の浮腫性の心筋肥厚と著明な左室収縮能の低下(左室駆出率:20%)と心膜液の貯留を認めた.TAFRO症候群に伴う心筋心膜炎と判断し,また起坐呼吸,低血圧,頻脈が出現し乏尿状態になったため集中治療室での管理となった.集中治療室ではドブタミンの静脈内投与,持続的血液濾過透析(CHDF)を開始し,また,当院膠原病内科と相談の上,ステロイドパルスとタクロリムスの投与を開始とした.すると,翌日からは循環動態は改善を得られ,心エコー図検査でも部分的に心筋の浮腫状変化の改善が認められた.全身状態も改善傾向になりCHDF開始から5日目に自尿も認めたため,CHDFを離脱した.第11病日には左室駆出率は45%にまで改善した.第25病日には左室駆出率は70%と正常化し,退院となった.
【考察】
本症例は腋窩リンパ節生検でCastleman病様の所見が認められ,TAFRO症候群の診断基準を満たしていた.また,今回経験したTAFRO症候群は経過中に著明な低心機能状態に陥り,集学的治療を要したが無事に社会生活が行えるまで改善した.TAFRO症候群自体が稀である上に,TAFRO症候群による心筋障害を呈する症例は極めて貴重な症例であるため報告する.