Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 工学基礎
生体作用・ファントム

(S465)

超音波照射によるドキソルビシンおよびナノバブルを併用した抗癌効果

Anticancer effects of doxorubicin by using nanobubbles combined with ultrasound

生 宏, 渡邉 晶子, 成平 恭一, 立花 克郎

Hong SHENG, Akiko WATANABE, Kyoichi NARIHIRA, Katsuro TACHIBANA

1福岡大学医学部解剖学, 2福岡大学医学部歯科口腔外科学

1Dept of Anatomy, Fukuoka University School of Medicine, 2Oral Maxillofacial Surgery, Fukuoka University School of Medicine

キーワード :

【目的】
癌細胞の殺傷効果の向上を得るために,これまで演者らは,診断・治療用のナノバブルの開発およびバブルと超音波の併用による抗がん効果,抗動脈硬化作用の評価の研究を行ってきた.本研究では,抗ガん剤と細胞培養液で作製した新型ナノバブルと超音波の併用し,その殺細胞増強効果及び影響を評価することを目的とした.
【方法】
ナノバブルの作製は,特殊容器の中の空気をPerfluoro-propane(C3F8)ガスで置換し,牛胎児血清FBS(-)のRPMI1640細胞培養用培地を入れ,気密プラスチック製キャップで閉じた.5分間冷却後,6500 rpmで60秒間高速撹拌した.この工程を数回繰り返し,ガスの核を含んだRPMIナノバブル(直径:200~300nm)を作製した.細胞培養は,ヒト白血病細胞株U937を用いて,37℃,5%CO2の環境下で培養した.音響カップリングゲルを介して96ウェルプレートを超音波プローブ上に設置し,1つのプローブで9ウェル分の細胞懸濁液に同時に超音波照射15秒間行った(図1).超音波照射条件は,周波数1.011 MHz,音響強度1.1 W/cm2で行った.細胞増殖・毒性試験には,96ウェルプレートの中で細胞懸濁液(最初濃度:1.2×105 cells/mL)とナノバブル(最終濃度:3×108/mL)とドキソルビシン((最終濃度:0,0.3,0.6,1μM)を混和した試料に対して上記条件で超音波照射した.照射後24時間培養し,その後,MTT法により超音波照射単独,ナノバブル単独,抗がん剤単独,抗がん剤とナノバブルの併用群,各々と超音波照射併用群の細胞生存率を評価した.
【結果および考察】
細胞生存率の結果,超音波照射単独とナノバブル単独に比べて抗がん剤単独,抗がん剤とナノバブルの併用群は強い細胞傷害効果が認められた.また,抗がん剤単独よりドキソルビシンとナノバブルと超音波を併用することで抗癌効果が増強する傾向が認められた.ドキソルビシン濃度に依存し,抗がん作用が増強されることも分かった.本実験ではじめて新型ナノバブルの細胞への影響を確認することができた.今後,細胞死に関するアポトーシス誘導効果および細胞周期を解明していく予定である.以上より本併用抗ガン法は,将来的に抗腫瘍に対する治療方法として期待できる.