Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 工学基礎
超音波治療・援用

(S464)

骨疼痛緩和HIFU治療における電磁波による温度モニタリングの可能性について その1

Electro-Magnetic thermometry for bone pain relief treatment

佐々木 明, 高塚 信治, 葭仲 潔, 山内 康司

Akira SASAKI, Shinji TAKASTUKA, Kiyoshi YOSHINAKA, Yasushi YAMAUCHI

1産業技術総合研究所健康工学研究部門, 2東洋大学理工学部生体医工学科

1Healcare Research Institute, NATIONAL INSTITUTE OF ADVANCED INDUSTRIAL SCIENCE AND TECHNOLOGY, 2Faculty of Science and Engineering Department of Biomedical Engineering, Toyo University

キーワード :

【目的・対象】
集束超音波を皮質骨(緻密骨)に照射すると電磁波が発生することが知られている.[1][2]
我々は,これを疼痛緩和治療の経過モニタリングに使用可能かどうかについて検討を行った.HIFU治療におけるリアルタイム温度モニタリング機能は安全な治療に対して必要機能である.MRgFUSが高価ではあるが実用化される中,USgが容易に実用化されないのは,局所温度モニタリングが容易でないことも一因である.軟部組織と異なり骨のHIFU治療では,弾性率の変化を捉えることは容易ではない.骨の構造を調べると,皮質骨・軟骨は,コラーゲン組織とハイドロキシアパタイトから構成された結晶構造であり,低レベルではあるが圧電効果を有するため,強力超音波を治療部位に照射する事で電磁波を発生する.一方,このコラーゲン組織は,温度感受性があり,温度上昇により結晶構造が壊れゼラチン質(膠)に変性する.人間での変性温度は43℃とあり,温度上昇によって構造由来の圧電効果が消失し,電磁波が発生しなくなると考えられる.
【方法】
そこで,この原理を利用して電磁波の温度モニタリングへの応用可能性について実験で確認した.骨疼痛緩和治療は,皮質骨と骨膜の間にある神経伝達組織を熱により破壊し切断する方法である.骨の音響インピーダンスは軟組織に対して大きく,吸収係数も軟部組織に比して大きいため,熱は骨の浅部周囲に集中する.HIFU実験では骨に焦点を合わせた.実験では,豚の大腿骨骨片,1MHzの半球面トランスジューサを用いて,実験(図‐1)を行った.
【結論】
豚皮質骨からの電磁波の検出及び温度変化に対するレベル変化も検出できた.1MHzのPZTに比して骨片がどの程度の電磁波発生レベルであったか,温度上昇によりどの様に変化したか,軟骨の反射レベルの受信可能性の有無をも検討したので併せて報告したい.
なお,本研究の一部は埼玉県産学連携研究開発プジェクト補助金により行われました.
[1]前田秀篤,坂井士,コラーゲンの圧電性及び焦電性,日本物理学会年会講演予稿集41(3),390,(1986)前田1986CiNii論文生体物理1986 1p-BF-3「コラーゲン及びケラチンのピエゾ定数」
[2]生嶋健司「超音波によって誘起される骨の電磁応答」超音波医学Vol.41 87-共企-40 S205