Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 工学基礎
超音波治療・援用

(S462)

フォーカストシャドウグラフ法を用いた強力集束超音波音場分布の再構成

Reconstruction of high-intensity focused ultrasound field distribution using focused shadowgraph technique

榊 飛翔, 工藤 信樹

Tsubasa SAKAKI, Nobuki KUDO

北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻

Division of Bioengineering and Bioinformatics, Graduated School of Information Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【背景・目的】
HIFU治療の際には,焼灼範囲の把握が必須であり,焦点に形成される音場分布の取得が必要になる.しかし,診断用超音波の計測に用いられるメンブレンハイドロホンは,強力超音波の照射により受圧部が容易に劣化・損傷するため,代替手法が求められている.そこで,光学的手法による音場の可視化が計測に用いられている.本報告では,フォーカストシャドウグラフ法(Kudo N, Ultrasound Med Bio, 41:2071-2081,2015)により取得したHIFU音場の可視化像を用いて焦点面の音場分布の再構成を試み,ハイドロホンで計測した音場分布と比較した結果を述べる.
【方法】
口径110 mm,焦点距離100 mm,共振周波数1.58 MHzの凹面型振動子に,10 Wの電力を投入してHIFU音場を発生させた.カメラのフォーカスを音場中心から光源側に5 mmの位置に設定し,撮影タイミングを超音波の1/10周期(60 ns)ずつずらして10枚の焦点付近の瞬時音場を撮影した.これらの音場像から各画素における輝度の最大変化幅を求めて,空間分布画像を作成した.これを音軸に回転対称なHIFU音場の投影像と仮定して,フィルタ補正逆投影法により焦点面の音場分布を再構成した.比較対象として,受圧面の直径が0.5 mmのニードルハイドロホン(80-0.5-4.0,IMOTEC社)を用いて焦点面の音圧分布を計測した.焦点音圧のP-P値は6.4 MPaであった.
【結果・検討】
Fig. 1にHIFU音場の空間分布画像(a)と方位方向のプロファイル(b)を示す.灰実線は(a)の白破線領域のプロファイルを幅0.5 mmで移動加算平均して求めた輝度分布を,黒の計測点はハイドロホンで計測した音圧分布を示す.ハイドロホンの音圧分布では,メインローブとサイドローブ間のnull点の振幅がメインローブの10%程度まで低下しているが,投影像では40%程度までしか低下していない.その理由は,音場が回転対称であり光線の曲がりは光路上で積算されるためと考えられる.Fig. 2に投影像のプロファイルを用いて逆投影により再構成した結果(a)と焦点を含む直線上の輝度分布(b)を示す.null点の位置と振幅に加え,サイドローブの振幅についても,ハイドロホンで計測した音圧分布により近い分布が得られた.
【結論】
フォーカストシャドウグラフ法で撮影した音場像に対して,フィルタ補正逆投影法を適用することで,ハイドロホンで計測される焦点面の音場分布の再現可能性を示した.