Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 工学基礎
マイクロバブル・ナノバブル

(S459)

アルブミンナノバブル超音波造影剤の基礎的な物理特性の検討

Physical characterization of human serum albumin nanobubble ultrasound contrast agents

渡邉 晶子, 生 宏, 成平 恭一, 立花 克郎

Akiko WATANABE, Hong SHENG, Kyoichi NARIHIRA, Katsuro TACHIBANA

1福岡大学医学部解剖学, 2福岡大学医学部歯科口腔外科学

1School of Medicine, Anatomy, Fukuoka University, 2School of Medicine, Oral and Maxillofacial Surgery, Fukuoka University

キーワード :

【目的】
これまでにマイクロバブル超音波造影剤を利用した造影効果について多くの研究が行われてきた.近年ではマイクロからナノ粒子へと研究開発が進んでいる.ナノバブルの利点は,従来の超音波造影剤の1/10の大きさであるため,より複雑で微細な構造の組織に入り込み,より精緻な画像が取ることができると期待される.今回は我々が作製したアルブミンナノバブル超音波造影剤の基礎的物理特性について新規計測方法を用いて検討した.
【実験】
生理食塩水で希釈した0.25%ヒト血清アルブミン溶液を調製した.アルブミン溶液を特殊容器(2mL)に封入し,6000回転で30秒間高速撹拌することで,アルブミンナノバブルを作製した.ナノバブルの粒径と質量を,ナノ粒子レーザー解析システムNanosightおよび共振式質量・粒子径計測システムArchimedesを用いて測定した.次にシリンジポンプを用いたin vitroの血管流体モデル(流速0.3mL/min)と周波数40MHzの高周波超音波画像装置Prospectを使用して,アルブミンナノバブルの超音波造影画像を撮影した.送信周波数30~50MHz,出力パワー,フレームレート5~30fps,ゲイン等の各音響条件で検討した.
【結果】
上記測定結果から,アルブミンナノバブルは粒子径150~200nm,個数1×107~108/mLであることがわかった.このアルブミンナノバブルと高速撹拌前のアルブミン溶液と比較すると,粒子が分散している周囲媒質(生理食塩水)よりも浮遊質量Buoyant mass[fg]が軽い物質の存在割合(Particle count)が約40%から約50%に増加した.これは高速撹拌により生成されたガスを含んだバブルの存在を表していると示唆された.このナノバブル超音波造影剤は,高周波超音波画像装置のBモード画像でも動態を可視化することが出来た.
【結論】
ナノ粒子レーザー解析システムおよび共振式質量・粒子径計測システムで,ナノレベルのバブルの基礎的な物理特性を世界で初めて確認することができた.超音波診断装置のBモード画像でも動態を可視化することが出来たことから,アルブミンナノバブルは造影剤としての機能も有している.今後,ナノバブル超音波造影剤で,複雑で微細な構造の組織の造影が出来る可能性が期待できる.