Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 工学基礎
組織性状診断

(S456)

超音波加温による生体組織の熱物性の超音波測定

Measurement of thermophysical property of biological tissue by ultrasound

辻本 祐加子, 森本 舞, 新田 尚隆, 秋山 いわき

Yukako TSUJIMOTO, Mai MORIMOTO, Naotaka NITTA, Iwaki AKIYAMA

1同志社大学超音波医科学研究センター, 2産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門医用計測グループ

1Medical Ultrasonics Research Center, Doshisha University, 2Biomedical Sensing and Imaging Group,Human Technology Research Institute, The National Institute of Advanced Industrial Science & Technology

キーワード :

【目的】
本研究は生体の熱物性に着目した超音波イメージングを目指している.生体組織を超音波で加温すると,組織温度の時間的変化は比熱,熱伝導係数,減衰係数に依存し,温度上昇に伴う音速の変化は組織の弾性率の温度変化に依存する.これらのことから,超音波加温による音速の時間変化率を組織診断のパラメータとすることによって,組織性状診断を目指したイメージングが期待される.そこで,本報告では超音波加温による音速変化を測定して,温度の時間的変化を推定し,その変化率から組織の状態を推定する手法について検討した.実験では,超音波加温した生体組織模擬ファントムの音速変化を測定し,音速変化より温度上昇値を算出した.さらに,シミュレーションによりファントムの温度上昇値を算出し,測定値と比較を行った.
【方法】
IEC60601-2-37規格に準拠して100×100×20 mm3のファントムを作製し,測定試料とした.焦点距離60 mm,直径10 mmの凹面円形(共振周波数5.2 MHz)の音速測定用振動子の外周に,内径10 mm,外径28 mmの凹面円環状(共振周波数3.2 MHz)の加温用振動子が同軸で配置された集束探触子を用いて,試料内における超音波加温前後の音速変化を測定した.加温用振動子に100 Vpp,BurstPeriod 100 ms,160000 Cycleを印加し,試料を加温した.音速測定用振動子をパルサー(OLYMPUS,5072PR)で駆動し,加温前と加温後0.1 s間隔で1 s間エコー信号を記録した.エコー信号から得られる音速変化と,計測したファントムの温度音速特性から温度上昇値を算出した.また,生体熱輸送方程式を用いてファントムの温度上昇に関するシミュレーションを行った.
【結果】
横軸を加温時間,縦軸を温度上昇値とし,測定結果とシミュレーション結果を比較した図である.シミュレーションにより算出した値が測定値の標準偏差内に収まる結果となった.
【結論】
生体模擬ファントム内において超音波による加温とその温度上昇が超音波によって測定可能であることを示した.