谷内 華菜, 中島 崇仁, 佐藤 亜矢子, 堀口 淳, 山崎 真有子, 石森 愛乃, 増子 勝郎, 山越 芳樹

Kana TANIUCHI, Tadahito NAKAJIMA, Ayako SATO, Jun HORIGUCHI, Mayuko YAMAZAKI, Yoshino ISHIMORI, Katsurou MASUKO, Yoshiki YAMAKOSHI

¹群馬大学大学院理工学府, ²群馬大学大学院医学系研究科

¹Graduate School of Science and Technology, Gunma University, ²Graduate School of Medicine, Gunma University

キーワード :

【目的】
我々は組織の硬さを定量的に測定する方法として，CFI映像を応用することでせん断波の波面を実時間で可視化する新たな手法（CD SWI法）を提案している^［1］．このCDSWI法と，既に臨床で使用されているARFI法とを比較することによりCD SWI法の有用性を検討したので報告する．
【方法】
ARFI法とCD SWI法を比較するために，次の2種類の実験を行った．まず，OST社の乳腺ファントムを使用し，ファントムの中に埋め込まれている腫瘤を模擬した硬い構造部分をその周囲を含めARFI法とCD SWI法で画像化した．得られた伝播速度図から構造の内部で3点，構造の周囲で3点の計6点で伝播速度を求め伝播速度のばらつきを比較し有意差検定を行なった．次に，硬く変形しにくい物体の模擬として内部の構造（直径10mmの球体）表面にコロジオン膜を塗布したファントムを用いてARFI法とCD SWI法（加振周波数：235.8Hz）の比較実験を行った．寒天濃度を①球体0.9w％，周囲0.9w％，②球体1.75w％，周囲0.9w％の2種類とした．実験に使用した超音波映像装置はSiemens社Acuson S3000（ARFI：9L4プローブ，CD SWI：18L6HDプローブ）である．また，CD SWI法ではCFI映像のせん断波の波面を動画像で表示するせん断波の波面映像（伝播図）も表示させた．
【実験結果】
図（a）は乳腺ファントムに対して得たCD SWI法による伝播速度図（上図）と構造内，構造周囲の伝播速度である．図（b）はARFI法の結果である．両方法とも構造内と構造外での有意差が認められたが測定値のばらつきはCD SWI法の方が小さかった．寒天ファントムの実験でも同様な結果が得られた．
【結論】
同一のファントムに対してARFI法とCD SWI法を用いて画像化を行うことで，速度値のばらつきを評価した．CD SWI法は外部からの加振を用いるので廉価でありプローブを選ばない汎用性がある．伝播速度に関してCD SWI法はARFI法とほぼ同様な値を示したが，CD SWI法の方が測定値のばらつきが小さいことが分かった．
［1］山崎他，第89回日超音医抄録集，89-基-013，S542（2016）.