Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 工学基礎
イメージング・画像解析

(S451)

血管分岐点の空間分布を利用した3次元血管網の拡張と連結評価

Extension of 3D blood vessel network considering spatial distribution of bifurcation points and connection evaluation

片井 拓弥, 山下 智己, 望月 剛, 桝田 晃司

Takuya KATAI, Tomoki YAMASHITA, Takashi MOCHIZUKI, Kohji MASUDA

東京農工大学大学院生物システム応用科学府

Graduate School of Bio-Applications and Systems Engineering, Tokyo University of Agriculture and Technology

キーワード :

【はじめに】
我々はこれまで,微小気泡やカテーテルを超音波により血管内にて制御し,腫瘍などの目的部位にのみに到達させる治療システムの研究を行ってきた.システムを実現するためには事前に目標血管網の3次元構造の把握が必要であり,これまで超音波ボリュームに含まれるBモードボリューム及びドプラモードボリュームの3次元解析とそれらの融合により,体内の血管網情報の再構築を行ってきた[1].一般にBモードにより得られた血管網情報は距離方向に欠損が生じ,ドプラモードにより得られた血管網情報は方位方向に欠損が生じるため,両者の融合は効果があった[2]が,撮像範囲が70×50×60mm3程度に限定され,1回の撮像で得られる血管網情報には限界があるという問題があった.以上の経緯より本研究では,同一座標空間で同時に撮像したBモードとドプラモードの融合に加え,隣接するボリュームを血管網構造を利用して拡張し,広範囲の血管網情報を再構築することを目的とする.
【方法】
超音波診断機Philips iU22を用いて取得した目標血管網のボリュームから抽出した血管網構造を3次元細線化処理によりグラフ化する.さらに隣接したボリュームの共通分岐点を用いて空間レジストレーションを行い,ボリューム間の同次変換行列を算出する.これから同一の座標系に複数の血管網構造を配置し拡張を行う.また前述の通り,Bモードとドプラモードの特性をそれぞれ考慮し,先行研究で行われてきた重みづけのパラメータも考慮する.導出された血管網構造を,グラフ理論を用いて連結性を評価した.
【結果】
24才健常者男性の肝臓を複数方向から撮像した元の超音波ボリュームと,本手法により拡張した結果を図に示す.また構造解析により拡張した結果の連結性は,元のボリュームの連結性を包含するものであった.これらの結果より,血管網情報を拡張できる可能性を確認した.
[1]Onogi S, et al. Advanced Biomedical Engineering, 4,27(2015).
[2]Yamashita T, et al. Proc. of Biomedical Int’l Conf.(2015).