Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 工学基礎
心筋・血管計測

(S446)

超音波による心筋の収縮応答の伝播計測に関する検討

Propagation measurement of myocardial contraction response using ultrasound

小林 樹, 瀧 宏文, 金井 浩

Itsuki KOBAYASHI, Hirofumi TAKI, Hiroshi KANAI

1東北大学大学院工学研究科, 2東北大学大学院医工学研究科

1Graduate School of Engineering, Tohoku University, 2Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
心筋に虚血が生じた場合,虚血部の心臓壁運動に異常が生じることが知られている.また,心筋の速度を求めることにより収縮機能を推定することができる.よって,これらの計測により虚血性心疾患による心臓壁の病的な変化を早期発見できる可能性がある.しかし,心筋収縮における遷移過程の機序に関しては,いまだ十分に解明されていない.本研究では,心筋の収縮特性の評価を行うため,高フレームレート計測された超音波画像に対し,スペックルトラッキング法を用いて心臓壁の2次元的な運動解析を行う.R波の近傍における心臓壁の2次元速度を計測し,心基部側,心尖部側において比較することで,心筋の収縮応答伝搬の様子を評価する.
【方法】
本研究では,高フレームレートでの計測のため,平面波を用いた並列ビーム形成法を使用する.取得した超音波RF信号間の相互相関関数を用いたブロックマッチング法を利用し,心臓壁の2次元変位推定を行う.実験環境としては,フレームレート860 Hz,超音波ビーム間隔262μm,サンプリング間隔51.3μmとし,23歳健常男性を対象にin vivo計測を行い,1心拍における心室中隔壁の2次元速度を推定した.得られた心室中隔壁の心基部側と心尖部側における速度波形の比較・検討を行った.
【結果】
R波直前において,ラテラル方向速度が心基部方向から心尖部方向へ変化し,拡張から収縮へと遷移している様子が観測された.同様に,超音波ビーム方向速度は,右心室方向から左心室方向へと変化し,拡張から収縮へと遷移している様子が確認された.また,ラテラル方向,超音波ビーム方向の両速度とも心基部側が心尖部側より先行して収縮が始まっていた.さらに,速度波形の遅延時間から収縮の伝搬速度を求めると,右心室側で2.6 ms,左心室側で7.3 m/sと推定され,差異が生じていることがわかった.
【結論】
スペックルトラッキング法で計測した心室中隔壁の2次元速度より,収縮へと遷移するR波付近の動きを観測することができた.また,高時間分解能で計測を行うことにより,心室中隔壁の収縮応答が心基部から心尖部方向へと伝搬していることが分かった.さらに,心筋の収縮伝搬速度に左心室側,右心室側とで差異が見られた.この結果から,提案法による心臓収縮機能解析が,心筋の収縮による遷移過程の機序の解明,及び心機能評価診断の一助となる可能性が示唆された.