Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 工学基礎
心筋・血管計測

(S445)

受信超音波信号の位相偏移と周波数の推定による血管壁2次元速度の高精度計測

Accurate measurement of arterial wall 2D motion velocity by estimation of phase shift and frequency of received ultrasonic echo

宮條 晃, 長谷川 英之

Akira MIYAJO, Hideyuki HASEGAWA

富山大学大学院理工学教育部

Graduate School of Science and Engineering, University of Toyama

キーワード :

【目的】
現在,生体組織の2次元もしくは3次元変位の推定法としてスペックルトラッキング法が広く使用されている.しかし,この方法では,標本点間隔以下の変位を推定するには補間処理が必要である.高速超音波イメージングでは,フレーム間隔が従来の100分の1になることもあり,フレーム間の変位が微小であるため非常に密な補間が必要となり計算負荷が大きい.さらに,秒間数千枚という膨大の超音波像を処理する必要がある.本研究では,スペックルトラッキング法と我々が開発した周波数補償付多周波位相追跡法について評価実験を行い,精度を比較した.また,提案法を用いて頸動脈壁の変位・速度の解析を行った.
【方法】
平面波高速超音波イメージングを用いてスポンジファントムからのエコーを測定した.測定には素子数192,素子間隔0.2 mmのリニアプローブを用いた.自動ステージを用いてプローブをラテラル方向に2 mm/s,距離方向に1 mm/sで移動させ,プローブとファントムの間に相対的な変位を発生させ速度推定を行う.スペックルトラッキング法の類似度計算には相互相関関数を,補間処理には3次スプライン補間を用いた.浅い領域と深い領域にそれぞれ9つの関心点を設定して2次元速度計測を行う.提案法は2次元フーリエ変換の窓幅を,スペックルトラッキング法では探索領域と関心領域幅を変化させ,速度推定値の偏り誤差と標準偏差および処理時間を比較した.
【結果】
提案法とスペックルトラッキング法ともに窓幅を大きくすると精度が向上した.距離方向の速度推定精度は窓幅にほとんど依存しなかった.窓幅をラテラル方向に±5 mm,距離方向に±0.492 mmとしたとき,スペックルトラッキング法は偏り誤差-0.636±0.234 mm/sになったのに対し,提案法は-0.026±0.140 mm/sと高い精度を示した.スペックルトラッキング法の処理時間は提案法の約700倍であった.また,健常者頸動脈の長軸方向3点の長軸方向速度と血管径方向3点の径方向速度を計測した結果,長軸方向速度はほぼ同相に発生しており,径方向速度には血管壁の微小変形(径方向ひずみ)に対応する速度勾配が確認された.血管の伸縮時に起きる位相のずれと弾性特性の変化を確認できた(図).
【結論】
提案法は,一般的に用いられているスペックルトラッキング法よりも精度,処理速度が優れていることがわかった.今後は本手法により動脈壁の変形量を推定し,弾性特性の評価を行う予定である.