Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

奨励賞演題 奨励賞
消化器 奨励賞

(S436)

Liver stiffness×Spleen ize/Plateletは慢性肝疾患患者の食道静脈瘤合併を予測する

Liver Stiffness-Spleen Size-to-Platelet Ratio Risk Score Identifies Esophageal Varices in Chronic Liver Disease

城下 智, 梅村 武司, 田中 榮司

Satoru JOSHITA, Takeji UMEMURA, Eiji TANAKA

信州大学医学部消化器内科

Gastroenterology, Shinshu University School of Medicine

キーワード :

【背景・目的】
慢性肝疾患患者では,肝線維化の進行に伴い肝硬変へ病態進展し門脈圧亢進症を伴うと,食道静脈瘤(EV)を合併することがある.EV破裂は肝不全の急激な増悪をもたらし,しばしば肝硬変の死亡原因となる.そのため,食道静脈瘤合併の合併について,適切な時期に上部消化管内視鏡検査(EGD)を行って,正確な診断とその破裂予防治療が必須である.EGDは外来で可能な安全な検査の一つであるが,EGDには抵抗のある患者は多く,頻回に検査を施行することはできない.本研究では,慢性肝疾患患者において,Liver Stiffness×spleen size/platelet count(LSPS)が,EV合併,および,破裂リスクが高いEV(H-EV)を予測できるかどうかを検討した.
【方法】
2013年から2015年に当院に通院中の慢性肝疾患患者のうち,EGD,腹部超音波検査,および肝硬度検査を受けた360例を対象とした.臨床検査値に加え,LSPSや他の非侵襲性線維化マーカーを比較検討した.また,EV合併の診断精度についてROC解析(Receiver Operating Characteristic analysis)を行い,LSPSがEV合併および破裂リスクのあるEVを予測できるかどうかについては多変量解析を行った.
【結果】
LSPSはEV gradeと相関(rho = 0.478,P<0.001)しており,EVおよびH-EV予測に関して他の非侵襲マーカーより優れていた.ROC解析より,EVおよびH-EV合併のカットオフはそれぞれ,1.0(陰性反応的中率:0.847(95%confidence interval[CI]:0.784-0.910,正確性:92.2%)と4.4(同:83.1%,0.854(95%CI: 0.729-0.978),であった.さらに,多変量解析により,LSPSはEVおよびH-EV合併を予測し得る独立因子であった.
【結語】
LSPSはEVおよびH-EV合併を予測する非侵襲的マーカーであり,カットオフより高い慢性肝疾患患者には積極的にEGD精査を勧める指標になりえる.