英文誌(2004-)
特別プログラム 救急POC
ワークショップ 救急POC 急性期診療におけるPoint-of-Care Ultrasound -エビデンスに基づいた新しい活用法-
(S421)
超音波ガイド下手技の安全性を高める
The safety of ultrasound guidance skills
野村 岳志
Takeshi NOMURA
東京女子医科大学集中治療科
Depart of Intensive Care Medicine, Tokyo Women's Medical University
キーワード :
超音波ガイド下手技を行うことが増えてきている.体表から見えない構造物へのメルクマール法での穿刺手技は解剖学的個人差により必ずとも成功しない.10数年前には“匠の技”として一般的な医療技術を卓越し,器用に穿刺手技を行うことが医師の技量とする環境もあったが教育効果は低かった.いまでは患者安全の側面から手技開始前に超音波での穿刺部周囲の皮下構造物の確認は必須となり,リアルタイムで手技を確認する超音波ガイド下手技が推奨される.多くの目で穿刺針の進行が確認できるため,教育も容易である.さらに安全にリアルタイムで細い針を穿刺するための手段として,穿刺ガイドをプローブに装着することにより確実に短時間で目標位置まで進めることも可能となった.多くの超音波ガイド下手技における有用性について考察する.
超音波ガイド下手技として,すぐに思いつくのは中心静脈穿刺であろう.医療安全の側面から急速に世界的に普及した.リアルタイム観察下の穿刺を行うかどうかは,まだ少し議論の余地があるが,少なくとも穿刺部位の血管の性状を確認せずに穿刺する医師はいないと期待する.血管確保から考えると,末梢静脈挿入型中心静脈カテーテルの挿入も超音波ガイドが必須である.表在から確認が難しい末梢静脈穿刺も超音波の使用が適当である.動脈穿刺においても,低血圧時に行う場合は誤って静脈穿刺にならないためも超音波ガイドが必須と考える.
次に多く行われているのが神経ブロックであろう.麻酔科,整形外科領域で多くの神経ブロックが行われている.末梢で神経と血管の多くは併走している.時に見かける光景であるが,神経ブロック時に超音波画像上で近接して観察できる血管への注意が欠け,合併症とニアミスする場合がある.
他の超音波ガイド下手技としては,体腔(胸腔,腹腔)穿刺,心嚢穿刺,実質臓器の穿刺,体内の膿疱穿刺,整形領域の穿刺など,種々の超音波ガイド下穿刺が全専門領域において多種多様に行われている.今回は多くの穿刺手技の基本となる超音波の原理と超音波ガイド下の運針の方法,教育方法などエビデンスを含め提示する.